そこに立っていたモノ
投稿者:take (96)
短編
2023/01/17
10:52
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妹が小学生の時の話です。
友達の家に遊びに行くのに近道しようと思い、神社を通り抜けることにしました。
境内に続く、子供しか通れないような木々の間を抜けようとした時、ばふん、となにかに突き当たるような感触があったそうです。
不思議に思って手を伸ばして確かめると、それは温かく柔らかい毛並みをした動物のようでした。
まるで、おおきなクマのような……それが何をするわけでもなく、のっそりと立っているのです。
目を凝らすと、半透明でしたが黒っぽい毛に覆われた背中のようだったといいます。
どうしても前に進めないので、迂回して境内に入り、今度は正面から見てみようと、抜け道をのぞき込んでも、その姿は見えなかったそうです。
妹は『人には見えないものが見える』体質で、幼少から不思議なものを見たり感じたりしています。
私もそういう体質ですが、妹の方が数段上です。
幼い頃、その神社へいったとき、鳥居の上に白い犬がいる、と妹はハッキリと言いましたが、私にはかすかにモヤモヤとした影が見えるだけでした。
その妹が見えなかったのだとすると、もしかしたらそれは『神様に近い存在』だったのでは? と思っています。
当の妹は、
「あれは絶対ト○ロだったよ、ト○ロって本当にいるんだね」
と、笑っていました。
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