覗く”何か”
投稿者:京接吻 (1)
短編
2023/01/13
12:17
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寒い冬の日、そろそろ寝ようかと準備していたとき。私の部屋に行っていた母が、おもむろに言いました。
「あんたの部屋にいるとなんか寒気がする」
「もう、寝る前にそういうこというのやめてよ」
私は笑いながら言い返しました。というのも、母はこういうことを言うことが多かったからです。だからこの日も、また何か言っているな~と特に気にも留めず流して、そのまま眠りにつきました。
その日は尿意を催したわけでもないのに、夜中に目を覚ましました。
半分寝ながら部屋をきょろきょろ見回していると、思わずぎょっとしました。暗い部屋ではありましたが、私にははっきりと見えたのです。
開けられていた扉から、ひょこひょこと顔だけ出している”何か”がいるのが。
なんだあれ!?と内心パニックになりましたが、確かめる度胸なんてものは勿論なく、恐怖のあまり布団を頭から被りました。
そうしている間に眠ってしまっていたようで、気づいたら朝になっていました。
私は、もしかしたらあの出来事は夢だったのかもしれないと思うことにしました。だって、あれが本当だったのなら怖くてたまりませんから。
ですがある日、母がこう言ったのです。
「あんたの部屋から、なんかひょこひょこ覗いている黒い人がいる」
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