警察です
投稿者:ねこじろう (147)
これは友人が中学生だった時の実話らしいです。
以下は、先日久しぶりに会った時に彼が語った一部始終です。
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雨の降り止まない梅雨の頃だったと思うな。
その日も朝からずっと雨の日曜日だった。
両親が共働きで美容院をやってたものだから俺は朝から妹と二人、2階にある部屋で宿題をやったりコミックを読んだりしていたんだ。
それで昼過ぎになって、そろそろ菓子パンでも食べようか?と思った時だったかな。
ピンポーン、、、
突然ドアチャイムの音が鳴り響いたんだ。
俺は妹と顔を見合わせると立ち上がり、部屋の入口ドアを開けてみる。
すると階段の下から玄関ドアを忙しなく叩く音がして、
「警察です。開けてください。」
という男の人の切羽詰まった声がする。
両親には普段から留守中に知らない人が来てもむやみに玄関を開けるなと言われていたんだけど、さすがに「警察」の人ということなら無視出来ないと思い、階段を下りて玄関先まで行くと「はい」と返事をして鍵を開けたんだ。
いきなり中に入ってきたのは黒い雨合羽を羽織り長靴を履いた大柄な男の人だった。
雨合羽は雨の滴に包まれ、目深に被ったフードの下から覗く2つの瞳はビー玉みたいで何だか冷たかったな。
男は胸ポケットから黒い手帳をチラリと見せ、
「こんにちは。お父さんかお母さんはいるの?」と尋ねるから黙って首を横に振ると男は、
「実は先ほどこの近くで、女の人の遺体が発見されたんだ。
犯人はこの辺の住宅に隠れているかもしれないので、一刻を争う事態だから今から家の中を調べさせてもらうよ」
と厳めしい顔で言い放つと、さっさと長靴を脱ぎ、ずかずかと真っ直ぐ廊下を歩き始めた。
男は奥の居間に入ると、勝手に家捜しをしている。
俺はその様子を不安な気持ちで眺めていたんだ。
男は一通り捜索を終えると俺のところまで来て、こう言った。
「犯人は逃亡に金が必要な筈だ。
この家には金庫とかあるの?」
俺は分からなかったから首を振った。
すると男は「そうか」と言ってしばらく考えるような素振りをすると、やがて「ここにはどうやら犯人はいないみたいだから、失礼するよ」と言い、また玄関まで行くと長靴を履き、さっさと立ち去って行った。
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翌朝、両親と食卓で朝御飯を食べていると、
中学生にしてはかなりおバカ。