ぼんやりおじさん

僕の街にはぼんやりおじさんがいる。おじさんはいつもなにかを見つめてる。ぼんやりおじさんと言うのは僕たちがつけたあだ名。いっつも何を見ているんだろう？

僕は中学生になった。今日もいつもと変わらずぼんやりおじさんはそこに立ってる。そしてなにかを見つめてる。痩せているし、髭も伸びきってる。いつまでそこにいるんだろ？

俺は高校生になった。ある日、ぼんやりおじさんはいなくなった。どこに行ったんだろう。なにを見つめていたんだろう。俺はいつもぼんやりおじさんが立っていた場所に立ってみた。でもおじさんが何を見ていたのかはわからなかった。

俺は大学生になった。今日もまたあの場所に立ってみる。でも何も見えない。

俺は社会人になった。久しぶりにふと思い出して、あの場所に立った。

そしたら見えた。

やっと見えた。

それからどのくらいの時間が経ったかな？

いまはただそれをみつめていたい