血色の悪い足の患者
投稿者:ぴ (414)
風邪の症状がとても長く続くので、心配になって病院にいきました。
多少熱っぽい感じはありましたが、そこまで高熱になることもなく、咳は続いたけど咳が酷すぎて仕事に支障をきたすわけでもなかったので、大丈夫とは思っていたのです。
だけど、あまりに咳が続くので職場の上司から「病院に行って来たら?」と心配されたのです。
だからそのお言葉に甘えて仕事を休んで、その日近くの病院に行くことにしました。
その病院は、体が弱かった私が子供の頃、よくお世話になっていた病院でした。
社会人になってからは行くのが久しぶりではありましたが、とても馴染みがあるところで、お医者さんの顔も知っているくらいでした。
受付してもらってしばらく待合室で待っていたら、病衣を着た患者さんらしき人が私の座っているソファーの前に立ったのです。
混んでいたので、居場所がないのかと思って気にしなかったけど、それにしてはすごく近いなと思っていました。
あまりに近いのでその人の顔は見ずに足元ばかり見ていました。
そのとき、その人の足が異様に青ざめていて血色が悪かったのです。
それがとても印象に残りました。
病院での診察結果はただの風邪ということで、大事には至りませんでした。
ほっとして会社に電話したけど、今日はそのまま休みなさいと言ってくれました。
だからとりあえず仕事に行かなくていいのなら寝て休養しておこうと思った私は、それから夕方までぐっすりと眠っていたのです。
ふと目が覚めたとき、私は変な違和感がありました。
なんというか、人の気配みたいなものがある気がしたのです。
周囲を見たけど、誰もいません。
でも落ち着かなくてそわそわして、私はキッチンのところへ水を飲みにいきました。
そしてごくごくとコップ一杯の水を飲んで飲み干した後に、私はなにげなくコップを置こうとしたのです。
そのときにふと自分の横に見知らぬ人の足が一瞬見えたのです。
思わずむせそうになるくらいに心臓が跳ねました。
焦ってもう一回見直したら足はなくなっていたのですが、あの病院でみた病衣の人と同じくらい青ざめた足元でした。
寝ぼけて変なものを見ちゃったなと思いました。
しばらくさっきの足を思い出して、ずっと落ち着かなかったです。
ただ、その日それだけで終わっていたとしたら、私は寝ぼけた末の見間違いということで、さほど気にしなかったと思います。
けれど翌日からその青ざめた血色の悪い足を何度も見るようになりました。
それから数日間、それが日常になったのです。
血色の悪い青い足が見えると相談すると、大抵の人が怖がりました。
この話を職場の同僚に相談したら、「絶対にお祓いしたほうがいい」と強くお勧めされました。
何より一番怖かったのは、この足をよく見るのが職場でも外でもなく、自宅であったということでした。
ご冥福をお祈りします。