別れを告げにきた後輩
投稿者:ミューファ (9)
私は中学生の頃、テニス部に所属しており、大会で賞を獲る等、エースとして活躍しておりました。
私の二つ下の後輩である、サトルのことを書かせていただきます。
サトルは私達が卒業後、エースになりました。ただ、もともとサボり症だったこともあり、その後は活躍することができませんでした。
中学を卒業後もサトルは私のことを慕ってくれており、付き合いは続きました。高校を卒業しても、大学を卒業しても、仲の良い兄弟のような関係性は続きました。
ただ、私が結婚したあたりから、少しずつ疎遠になっていきます。
私とサトルにはバイクという共通の趣味があったため、年に何度かメールでのやり取りは続いておりましたが、何年も会わない期間が続きました。
そして、ある日。いつも通り、バイクに関してメールのやり取りをしておりました。
サトルは少し前から体調を崩しており、仕事にも就いていない様子でした。私は「飯食う元気はあるか?来週そっちに帰るから、晩飯食いに行こう」と誘ったところ、サトルも喜んでくれました。
そして数日後、夢を見ました。
夢の中で、私は中学生に戻っており、試合会場に向かって歩いています。そして、同じく中学生に戻っているサトルに「お前さぁ、あんまり練習サボんなよ。勿体ないで」と話しました。するとサトルは何も言わず、そのまま去っていきました。
目が覚めて携帯電話を見ると、サトルから留守番電話が入っています。
再生してみると女性の声で、
「サトルの母親です。サトルが今朝、亡くなりました」
その日、私は仕事を早退しお通夜に向かい、ご家族に挨拶をしました。
私には話していなかったのですが、高校生くらいの頃から持病で悩まされ、将来を悲観して命を絶ってしまったそうです。
あれから、もうすぐ10年が経ちます。
私はあと何年生きられるかわかりませんが、あの世に行った時は、あの時に飲めなかった酒をサトルと二人で飲みたいと思います。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。