二階の窓に浮いた目

新築で家を建てる間、アパートを借りていました。
そのアパートは庭付きの２階建てで、横に同じ部屋が５部屋連なった造りになっていました。
お隣さんとも仲が良く、お互いのアパートをよく行き来していました。

お隣さんの家には小さな女の子がいて、うちによくお菓子を食べに来ていました。
可愛らしくておしゃべりが上手な子で、大人ともしっかり話ができる子でした。
ある日お隣さんが親戚に不幸があり、一晩地元へ帰ることになりました。
家族で帰省するつもりでしたが、当日になって女の子が熱を出してしまいどうしても連れて帰れなくなりました。
仲が良かったのでうちでみていてほしいと言われ、困っているお隣さんを放っておけず引き受ける事にしました。
女の子は熱でぐったりしていましたが、病院にも行き、安静にしていれば大丈夫と言われていたので、一泊だけ預かる事に。

その日の夕方には熱もさがり、元気になった女の子に安心していました。
お風呂もご飯も終わってあとは寝るだけと、二階に連れて上がった時です。
女の子がとても怯えた顔をしてそれ以上前に進まなくなりました。
二階は二部屋あって、大きな窓のある和室に通そうとしたのですが動いてくれません。
どうしたのかと聞いても答えてくれず、泣き出してしまい結局一階に布団を持っておりて一緒に寝ました。

その出来事からしばらく経った後、お隣さんにそれとなく理由を聞いてみたのです。
女の子が言うには「窓にいっぱい目が浮かんでいて怖かった」と。
今思えばその時それを言われなくて本当に良かったと思います。
もう引っ越しましたが通りかかった時はつい、二階の窓を見てしまいます。