白い壁

私が中学生の頃、引っ越したばかりの家での出来事です。

私は当時転校したばかりで慣れない土地で毎日憂鬱な日々を過ごしていました。その頃の事はうろ覚えなんですが、どうやら毎日居間の壁が怖いと訴えてたそうで。
確かに居間の壁の端が怖かった記憶が鮮明ではないですが、覚えがあるような気がします。

ある日、私はある日の登校前に母に「壁が怖い」と子供のように泣きだしたそうです。もう中学3年生なのに、堰を切ったように突然泣き出し、収拾がつかなかった事があるそうです。
その日は登校する事も出来ず休んだそうですが、その日の夜…「線香の臭いがする…」　私は居間で突然そんな事を言い出したそうです。
そしてまた壁を見て「怖い！！！」と泣き出しました。

話によると、その引っ越した先は、父の元同僚の家だったそうです。父の元同僚はその家を買って早々に亡くなり、家族は引っ越しを余技なくされたそうです。
そして父がその亡くなった同僚の代わりとして本社から辞令を受け、その土地へ転勤をしました。
住む場所は会社の人事が紹介してくれた物件だったそうです。その同僚の死因は知りませんが、家にはやはり執着があったのでしょう。
人事も知ってか知らずか同じ会社の人間に紹介するなんて、何も考えてない会社だったのでしょうね。