短編
2022/11/18
19:33
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ある人形を拾った。
道に落ちていたのだが、僕は別に特別人形が好きな訳ではない。
でも、なぜか拾ってしまった。
次の日、友達に人形のことを話すと、友達は顔色を悪くした。
ある都市伝説を聞いたことがあるそうだ。
なんでも、「道に落ちている人形を拾ってしまうと、
最悪のタイミングで自分と人形が入れ替わってしまう」らしい。
早く始末した方がいいと言われたが、そうもいかない。
実は僕はオカルトマニアなのである。
心霊現象や都市伝説が好きな者にとって、
人形と入れ替われるなんて滅多にない経験を逃すわけにはいかない。
そう思ってずっと人形を部屋に置いておいていた。
しかし、それから一年が経った今でも入れ替わるなんて経験はなかった。
あれから友達との大事な用事に遅刻したり、車に轢かれかけたり、
最悪のタイミングなんて数多にあった。
しかし、入れ替わるどころか人形の夢すら見なかった。
やっぱり都市伝説は都市伝説か。
ちょうど今日はゴミ回収の日だったため、思い切って人形を捨てることにした。
人形をゴミ袋に入れ、ゴミ出しを終えた時、ちょうどゴミ収集車が来た。
今日であの人形ともおさらばか。そう思いながらごみ収集の様子を眺めていた。
人形が入ったゴミ袋がゴミ収集車に入れられる直前、
僕は人形と入れ替わった。
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正に人形にとってかなり最悪の瞬間だな…
語り手の最悪の瞬間ではなかったか