黒いおじいさん
投稿者:風藻 (1)
これは私の従弟が小さいころに経験したお話です。
私の従弟が2才のころ、弟が生まれました。
いたずら好きのやんちゃな従弟は、構ってほしかったからなのか、弟のお世話で忙しいお母さんの邪魔ばかりして、よく怒られていました。
あまりにもいたずらがひどいので、弟は二階で寝ることが多くなり、従弟は用がなければ二階に行くことを禁止されていました。
そんなある日、一階で遊んでいた従弟は、弟の泣き声で二階に上がったお母さんをみて、こっそりついて行こうと思ったようで、後を追いかけようととしました。
リビングを出て、二階へ続く廊下の角を曲がったとき、目の前に背の高い、黒いおじいさんが立っていました。
おじいさんは恐ろしく怒った表情でこちらを睨みつけています。
あまりの恐怖に声も上げられず、体も動かない状態でおじいさんを見つめていると、おじいさんは突然目を見開き「こら!!」と怒鳴り声をあげました。
その声に驚き飛び跳ねたと同時に体が動くようになった従弟は急いでリビングに戻り、大声をあげて泣きました。
心配して降りてきたお母さんが事情を聞いても、「おじいさんに怒られた」としか答えず、まったく意味が分からない状態でした。
それから数か月後、お母さんと一緒にアルバムを見ていた従弟が突然ある写真を指差して「あ、このおじいさん、怖い人だ」と言い出しました。
それは、従弟が生まれる前に亡くなった祖父の白黒写真でした。
お母さんが詳しく話を聞くと、この間は泣いていたのは、このおじいさんに怒られたからだと言うのです。
従弟はこの時知りませんでしたが、この家の三階には祖父のお仏壇がありました。
もしかしたら従弟は、ずっと祖父に見守られていたのかもしれません。
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