金魚の夢
投稿者:ぴ (414)
苦しくてびちびち飛んで、死に物狂いでバケツに戻ろうとしたけど戻れませんでした。
そして力尽きて息絶えました。
絶望しかなかったです。
そして私は、そんな夢を見て朝泣きながら目を覚ましたのでした。
朝早くに父に頼んで、玄関を開けてもらいました。
そしたらそこには案の定、金魚が飛び出てそのまま息絶えた亡骸がありました。
私はこれを見てギャン泣きしてしまい、父と母を困らせました。
そしてその日見た夢の話を両親に話したのです。
その日見た金魚の夢が夢じゃなくて現実だったとは考え難いかもしれません。
でもそのとき見た金魚は夢の金魚に模様が似ていて、私は夢と現実がごっちゃになってしまったのです。
さすがにこんなに何度も金魚が飛び出す事故があって、私が落ち込んでいると両親らも何とかしなきゃと思ったのでしょう。
それから金魚が勝手にバケツから外に飛び出ないように蓋をするようになりました。
蓋をするようになったら金魚が外に飛び出すことはなくなりましたが、あからさまに元気がなくなったように見えました。
私が可愛がっていた金魚たちがすごく元気をなくし、えさも前のようにパクパク食べなくなりました。
まるで外に出られないことを嘆いているかのように私には見えたのです。
その姿があまりに可哀そうで、私は母たちが見てない内に一度溝に金魚を逃がそうとしました。
殺すつもりなんてなかったし、そうして逃がしてやれば金魚が喜ぶと思ったからです。
なんとか溝に流す前に気づいた大人に止められたのですが、気づかれなかったらそうやって金魚を溝に流していたかもしれません。
そこには水があまりなくて、「こんなところに流したら死んじゃうでしょう」と母からこってり怒られました。
私はそう言われて、危なく金魚の命を奪いそうになったことに恐怖を感じました。
その日、私はまた夢を見ました。
私はまた金魚で、泣いているのです。
自由になれないでこのまま狭い場所で過ごすなんて考えられないと悲しんでいました。
食事するのも嫌だと思うくらいに、ここにいることが嫌だと思っていました。
そしてひたすらご飯を食べず、元気をなくしていきました。
そしてひっそりとバケツの片隅で、外を夢見て目の前が霞んでいきました。
朝起きて、また金魚の夢だと気づいたら嫌な予感がしたのです。
もしかして…と私は胸騒ぎがありました。
そして嫌な予感に急かされるようにして、玄関の外に出ました。
そしてあの金魚の蓋を開けると、バケツの隅で一匹浮いて死んでいる金魚を見つけたのです。
金魚の事を思うばかりに、金魚の夢を見たのだと思いますね。