トンネルの幽霊

私が大学生の頃の話です。

当時は免許取り立てであちこちにドライブへ赴いていました。

ある日遠出の為に山道を走っていました。鬱蒼とした山で不気味な雰囲気でしたが、お気に入りの音楽を聞きながら信号も無い道をスイスイ走って結構上機嫌です。

途中トンネルに差し掛かりました。古いトンネルですが現在も使われています。中に入って暫く走っていると壁際に人が立っていました。

着物を着た髪の長い若い女性です。ライトに照らされは姿は生気が無くまるで幽霊の様でした。

歩行者と言う事もあり得ますが、こんな山の中をわざわざ歩くでしょうか。一気に怖くなりスピードを上げて急いでトンネル外へ出ました。

すると目の前は急カーブです。慌ててブレーキを踏み間一髪で崖から落ちるのを免れました。目の前のガードレールには花が供えてあり過去にここから転落して亡くなった人がいる事を示唆しています。

きっとその人も先程の幽霊に驚きスピードを上げてその勢いのまま逝ってしまったのでしょう。突然の恐怖体験にそそくさと山を降りました。

帰りは再びあのトンネルを抜ける勇気も無く遠回りでしたが別ルートから帰路につきました。あの体験があって以降、トンネルがとても怖いです。