ドイツの古い民家に潜む少女の霊
投稿者:窓際族 (47)
これは知人のOがドイツで体験したお話です。
当時大学生だったOは、現地の友人の家に泊めてもらいながらドイツ旅行を楽しんでいました。
学生で貧乏だったということもありあまり多くの場所を周ることはできませんでしたが、その分友人たちとドイツのより日常的な面を楽しむことができたそうです。
ところで、ドイツには地下室を備えている家が多いそうです。
用途は主に物置や食糧庫、洗濯部屋など。
モダンな物件だと趣味を楽しめるような立派な部屋になっていることもあるらしいです。
ところがその友人の家はなかなかの歴史がある雰囲気たっぷりのもの。
地下室はまさしくダンジョンと呼べるような、暗くジメジメしたかび臭いところだったそうです。
そして言うまでもなくそこは普段は人が立ち入らないただの物置になっていました。
しかし、Oは滞在中この空間が妙に気になっていました。
なぜならそこからたびたび女の子の声が聞こえるような気がしたからです。
ある夜、意を決してその声を聞こうとすると……判明したその内容は「お腹空いた」、「アイントプフが食べたい」などといったもの。
ちなみにアイントプフとはごった煮といったような感じのスープ料理です。
驚いたOは、友人にその話をしました。
すると、友人は特に驚くこともなく彼女の正体を話してくれたそうです。
それは昔戦争で飢えて亡くなった女の子。
ドイツは今では日本よりずっと安く食材が手に入りますし、食のバリエーションも日本ほどとは言わないまでもだいぶ豊富になってはいますが、昔戦争があった頃は飢餓で多くの人々が亡くなったそうです。
特に多く犠牲になったのが女性と子供。
これにさらに疫病の流行が重なることもあったそうで、こうなると状況は相当悲惨なものになったそうです。
……なんだか今のご時世と少し重なるところがあるような。
ともあれ友人は歴史は変えられないが、こういう子をもう出さないようにするのは私たちの世代の責務だと言っていたそう。
ちなみに余談ですが、その少女は特に実害もないということで今もたぶんそのままなんだとか。
友人にはその声は聞こえないらしいですが、それでいいのか……。
実害が出てなくていいじゃない。