祖父の遺言書
投稿者:ぴ (414)
我慢の限界だと学校に迎えにいったところ、「娘さんはもう帰りましたよ」と先生に言われたらしいです。
父は慌てて家に帰りました。
だけど家にはまだ妹は帰っておらず、私たちは慌てたのです。
もうすでに家の前に塩はまいてあったのですが、肝心の妹が家に帰ってきません。
遺言書の通りであれば、17歳の誕生日には家にいないといけないのです。
それなのに家にいない妹に父はすごく腹を立てているようでした。
こんなに怒った父を今まで見たことがなく、私たちは否応なく妹探しに加わりました。
普段はとても素直でまじめな子なのです。
そんな妹が父の言いつけを守らずに、いなくなったことが不思議でした。
遺言のことを耳にしたことはあったけど、私はそこまで遺言を気にすることはなかったです。
現物を見ていなかったというのもありますし、17歳の誕生日に塩をまくだけで何が変わるのかと不思議に思っていました。
あまりそういうのを信じない現実的だった私は特に気にすることもなかったけど、さすがに家に帰らない妹は気になり、捜索を続けたのです。
私が妹を最後に見たのは、近くの神社でした。
よくその神社に妹がいるところを見たことがありました。
近くの子供なのか知らない男の子と妹はよく神社で遊んでいたのです。
私はそれを思い出して、吸い寄せられるように近くにあった神社に足を運びました。
そしてそこで妹らしき人を発見したのです。
なぜか妹は真っ白の巫女さんみたいな着物を着ていました。
そして誰かに手を引かれるようにして、神社の奥に消えました。
私は思わずそれを追いかけようとしたら、急に手首を引っ張られたのです。
振り向いたら小さな小さな男の子がそこに立っていました。
「どこの子?」と私は聞きました。
その子はなぜか気味の悪い古びたきつねのお面を被っており、私が聞いても返事をしません。
私は妹を追いかけないといけないので、その子の握る手を振り払おうとしたけど、あまりに力が強すぎて振り払えません。
まだ5歳くらいの子供だったのに、あまりに強い力になんとなく人知を超えた何かを感じました。
恐怖を感じて、私は全力でその子を突き飛ばして妹を追いかけました。
そしたら「助けてぇ」という妹の声がしたんです。
それは必死に何かから逃げるような悲痛な声だったと思います。
慌ててその声がした場所に向かったけど、妹らしき人はどこにもいませんでした。
そこで思い出して、父や母や姉に連絡して一緒になって神社の中を探したけど、結局妹はどこにも見つかりませんでした。
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