それから怒涛の日々だった。
両親の離婚と引っ越しとなれば子どもたちのショックは計り知れない。
けれど、家から遠い場所に越した方がいいと言われたので私は実家に帰ることにした。
私の両親には夫の浮気のことだけを伝え、離婚したことを報告した。
孫の手前あれこれ言えなかったのか「わかった」とだけ言って、私たちを受け入れてくれた。
子どもに父親に会えないことを伝えると寂しそうな顔をしたが、泣いたりはしなかった。
最後に会った時の奇行がよほど衝撃的だったのだろう。
長女が「パパは病気になっちゃったの?」と言ったので「そうだよ」と話を合わせておいた。
そうした方が子どもも納得できるだろうと思って。
実家に出戻ってから数か月ほど過ぎた頃だった。
子ども達が幼稚園に通っていたころからのママ友から連絡が来た。
彼女には離婚原因などを伝えていたので、現状の報告などをした。
そして、驚くべきことを伝えられた。
「前の旦那さん、あの家にまだ住んでるみたいよ」
「えっ? だってお義父さんはもう家はダメだから処分するって言ってたよ」
「そうでしょ? 私もそう聞いてたからおかしいなって思ったの。
だけど、最初は業者の人とか入ってたんだけど、どうしてなのか処分しないことになったみたい。
あと、私は見てないんだけど、近所のママが若い女の人が出入りしてるの見たんだって」
私はあの女性だと直感した。
「でもさ、いっつも女の人一人だけなんだって。だから家が売りに出て、新しい人が入ったのかと思ったら、
表札は前のままなのよ。だから元旦那が住んでるってことでしょ?」
「そう……なるねぇ」
「その女の人も愛想悪くて、挨拶しても返してくれないらしいよ。
家のシャッターも下りたままだし、カーテンも開いてなくて気味が悪いってもっぱらの噂なの」
「そうなんだ」
その後は他の話題に移り、話は終わった。
私は元夫のことが気にはなったけれど、義父から直接連絡は取るなと言われていたので、何もしなかった。
それから数年経った今でも元夫がどうなったのかはわからない。
子ども達も会いたいと言ったことは一度もなかった。
まるで父親など最初からいなかったかのようなふるまいだった。
もしかしたら、これもあの女性の呪いなのかもしれないと思った。























恨んだ相手本人ではなく場所に憑いてるっていうのが、家族を巻き込む形の呪いで怖かった
しかも呪いはまだ続いてそうで、、、
浮気した旦那が全て悪いわな…