「この部屋から出て! 早く!」
私は子どもを抱えるようにして書斎から飛び出した。
頭に響いていた泣き声はうそのように消え、子ども達の嗚咽だけが聞こえた。
夫は気が済んだのか再び椅子に座り、見えない赤ちゃんに向かって話しかけ始めた。
「ママ、パパどうしちゃったの?」
「わからない。けど、今日はおうちにいない方がいい。おじいちゃんの家に行くよ」
玄関に置いてあった荷物を手に取り、再び車に乗り込んだ。
そして夫の実家に連絡し、向かうことにした。
事の顛末を話すと義父は首を傾げながら黙ってしまった。
「すみません、突拍子もないお話をして。信じられないですよね」
「いやいや、千尋さんがうそをついてるとは思ってないから。ただちょっとね……」
そう言うと義父は立ち上がってどこかに行き、しばらくして戻って来た。
「子ども達はばあさんに任せてもう一度家に行こう。修一達も呼んだから」
「お義兄さん達もですか?」
「うん。連れて行った方がいいだろうから」
なんだか大事になってしまったと思いながら、義兄達の到着を待ち、それから再び自宅に向かった。
玄関のカギを開け、義父達を招き入れる。
すると、斜め向かいの通りからこちらを見ている人がいることに気が付いた。
近所の人ではない。見たことのない女性だった。
私よりもだいぶ若い、小ぎれいな恰好をしていた。
ただ、その表情は異様だった。恨めしそうな目をしているが、口元はニヤニヤとしていた。
私が見ていることに気づくと、すすっとこちらに近づいて来た。
「どちら様でしょうか?」
「来てますね」
「はい?」
私とは目を合わせずに家の方を見てニタニタと笑っていた。
「フフッ……来てますね。フフフ!」
「ちょっと! なんなんですか?」
女はそのままどこかに行ってしまった。
気味が悪いと思っていると、家の中から怒声が聞こえて来た。
慌てて中に入ると書斎で揉めているのがわかった。
























恨んだ相手本人ではなく場所に憑いてるっていうのが、家族を巻き込む形の呪いで怖かった
しかも呪いはまだ続いてそうで、、、
浮気した旦那が全て悪いわな…