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心霊

赤壁二世さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

俺だけ見える心霊写真
長編 2022/10/01 08:01 24,242view
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まあ、結論から言えばその努力が実ったのかは分からないが、今でも俺は生きている。
ただ、どの寺や神社に写真を持ち込んでも誰一人写真の中の人影は見えないし、写真に霊障は無いと断言していたので、供養してもらえるところでは供養だけは頼み込んだ。
それでも不思議だったのが、どの住職ももし本当に写真に人影が見えるのなら決して捨ててはならないと強く言ってきた事。
どちらかと言えば、危ないものは手放した方がいいと俺は思うんだが、他に信頼できる人もいない俺は住職の言葉を信じて写真は未だにアルバムの中にしまっている。

時折、ちょっとむかつく上司なんかに「この写真に幽霊写ってるんですけど、わかります?」としれっと見せて確認させたりしてるが、これまでに人影を見れた人は一人もいなかった。

やっぱり俺にしか見えないのだと分かれば、諦めたかの様に写真を見る事は無くなって、いつしかそんな写真がある事もすっかり忘れてしまっていた。

でもある時、結婚して子供ができたんで手狭だけど結構きれいなマンションに引っ越しことになったんで荷造りをしていたんだけど、例のアルバムが出て来た。

最初こそ「あ、アルバムかー懐かしいな」と呑気に口走っていたが、開いた瞬間にあの写真が出てきて息が止まるかと思った。
もうすぐに全部思い出した。
フラッシュバックみたいにA達の事が蘇って吐きそうになったが、それよりも写真の中の俺を見て絶望した。

最後に見た時、俺の背後に立っていた人影が俺の背中から腕を回して抱き付いていた。

それを見て率直に「あ、俺死ぬのか」と乾いた感想が浮かんだ。
この写真に写ってる人は全員この人影に呪い殺されるのかと、そういう覚悟みたいなのが体にしみ込んでいた。

これから幸せな家庭が待っていた分、余計に虚無感に襲われた。

そのせいか「あー、奥さんと子供どうしよ」とか「今から生命保険入ったら大丈夫かな」とか建設的なのか目をそむけているのかよく分からない感情に支配されていた。

そんな事があっても未だに俺は生きているが、いつどこで自分が死ぬのかわかったもんじゃないので、いつ死んでもいい様に毎月遺書を書いては不要になると破り捨てている。
いつどこで最後を迎えるか分からないので、家族には極力毎日愛情を注いでる。
そのせいか愛妻家だとか家庭を大事にしている、そして仕事熱心だとか全力で生きてるなんて揶揄われることもあるが、俺に言わせれば死ぬ気で毎日生きてるんだから当然の事だ。

5人の中でどうして俺だけ生き残ったのか。
どうして俺だけ人影が見えるのか。
そもそもあの写真は何処で誰が撮ったものなのか。
大人になった今も分からないままだ。

まあ、生き残ったといっても、いつ事故死するかと怯えて過ごしているんだが。

5/5
コメント(7)
  • 怖いけどそれ以上に辛い

    2022/10/01/12:29
  • ゾクゾクした
    怖い話ってこういうのだよねやっぱり

    2022/10/02/01:46
  • スマホのフォルダの中で自分が写ってる写真確認してしまった。

    2022/10/06/12:50
  • 凄く怖かったです

    2022/10/16/16:45
  • 怖い。
    大丈夫だとしか言えないよ。
    その写真の人影みえる霊能者はいると思いますが。

    2022/10/25/03:59
  • 自分だけ、何で生きてるんだよ👎🏻

    2023/08/14/22:08
  • 生き残っていなければここに書くこともできないからね

    2023/10/16/21:37

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