憎悪
投稿者:さく (2)
その年高校を卒業した私は、仲の良かった同級生6人で関西地方にある遊園地に一泊二日の旅に出掛けました。
楽しい遊園地、改装したばかりの美しいホテルに温泉施設、豪華なディナービュッフェ。楽しさ満載の一日でした。
三人で泊まるその部屋には古い和式のトイレがありました。窓がなく丸いタイルが敷き詰められ、部屋の角には小さな手洗いがあります。
(部屋は綺麗なのにトイレをなぜ改装しなかったんだろう?)
そうなふうに思いました。
夜も更け、部屋では友人たちとの尽きないおしゃべり。
「そろそろ寝ようか!」
私は寝る前に用を足そうとトイレに入りました。
便座にしゃがみこんだその時です、後ろに誰かいる気配がして、 はっ!と振り返りました。
もちろん誰もいません。
気を取り直して再び前を向きました。するとさっきよりも強く、今度は気配と共に、なんと説明したら良いかわかりませんが、猛烈な憎しみ?みたいなものをを感じ、全身の毛が逆立ちました。
角の手洗いがある辺り、天井の少し下…
これはヤバいやつだ!
子供の頃からたまに不思議な体験をする事がありましたが、ここまでの悪意を感じたのは初めてでした。
「やっぱりやめよー」やっとの思いで棒読みの台詞を呟き、なんとかトイレから外に出ました。入れ替りで入った友人Aには変わった様子もなかったので
(変に騒いで楽しい時間を台無しにしたくないし黙っておこう)そう思い私は部屋の外、廊下にあるトイレに向かいました。
「私も一緒に行く」友人Nと共に廊下のトイレを使い、その後何事もなく眠りにつきました。
その旅行から半年程たったある日、同じ部屋だったNと久しぶりに会うことに。ひとしきり旅行の話をした後、彼女が「楽しかったけど、あの部屋変じゃなかった?」と言うのです。詳しく聞いてみると、Nは私より前にあのトイレに入ったけどやっぱり気持ち悪くて使えず、私が廊下のトイレに行くと言うので便乗したそうです。あのホテルの部屋どうなってるのかな?時々思い出します。
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