かくれんぼ
投稿者:ぴ (414)
はっきり言って、うちはあまり裕福とはいえない家庭で育ちました。
だけど親戚は裕福な家が多く、だからたまに親戚の家に連れられたときのおいしい料理には、目を輝かせました。
その日も親戚のある家にお呼ばれして、家族で来ていたのです。
あまりに大きな館やローストビーフやステーキなどの豪華な食事に驚いたものです。
私たちが親戚の家にやってきた目的は、その親戚の家の子の10歳の誕生日パーティーにお呼ばれしたからでした。
毎年、そのようなパーティーが大々的に催されるわけではなかったです。
むしろ、誕生日会はその一回きりで、あとは一度もその親戚の家に集まった記憶はありません。
だけどその年はなぜか私たちは大勢その家にお呼ばれしました。
そこには小さい子供ずれの親子が5~6組ほどいて、本当に騒がしくて賑やかな一日でした。
親戚なのでもともと顔見知りという人も多く、その場はとても和気あいあいとしていました。
だけど私たち家族はそれまで、その親戚とは付き合いがなかったため、あからさまに浮いていました。
私に関して言えば、元からちょっと人見知りの気がある一人っ子だったので、兄弟がいるのが当然で育った他の子たちとはなかなか打ち解けられなかったです。
それを見かねたのかなんなのか、私を気遣ってくれる子がおり、その子がしきりに私に話しかけてくれました。
名前はめぐちゃんといいました。
本名は分からないのですが、周りの子はみんなその子を「めぐちゃん」と呼んでいたと思います。
めぐちゃんはほかの親戚の中でも特にこの家のことやこの家の子のことに詳しかったです。
どうやら私とは違って、ここが初めてではなく、遊びに来たことが過去に何度かあるような口ぶりでした。
だから本日の主賓であるこの家の子どもとも仲良く話していました。
そんなめぐちゃんがなぜか私にすごく構ってくれて仲良くしてくれました。
私よりも1~2歳年上だっためぐちゃんがついていてくれたので、両親も安心して私から離れられて、私はめぐちゃんと家を見て回っていたのです。
そんなとき、急に子供たちがみんな集まり始めたのです。
私一人だったら、うじうじしてその輪に入っていけなかったと思います。
でも積極的なめぐちゃんにぐいぐい引っ張られて、私はそれに参加することになりました。
子供たちみんなで「かくれんぼしよう」という話になったのです。
通常なら家でかくれんぼなんてしても、すぐに見つかって面白くありません。
だけど、その家はかなり広くて、隠れるところなんて山ほどありました。
みんな「楽しそうだね」と乗り気で、そのままかくれんぼをすることになったのです。
じゃんけんをして鬼を決めました。
そしたら鬼に決まったのはめぐちゃんでした。
「私が鬼ね~」とめぐちゃんはノリノリで、鬼の役割を引き受けたのです。
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