怖い話朗読配信
投稿者:八尺マン (46)
そんなわけない。令和の時代に今更幽霊だなんて
きっと、ちょっとおかしい人なのだろう
問題は、幽霊よりちょっとおかしい人の方が厄介ということです
引き返そうかと思いましたが、家へと帰るにはその道を進むしかないのです
大きく回り道をすれば不可能ではないですが、かなり面倒です
私は出来るだけその女に近づかないようにして進むことにしました
その女から目を離さないようにして、女の横を通りました
女に変化はなく、ただ立っているまま
あっさりと通り抜けることができました
私は何度も後ろ振り返って、追ってこないか確認したながら家へと急ぎました
女はずっと動きません
私は注意に注意して家にたどり着き、ささっと玄関のドアを開けて中に入ってドアを閉めました
「なんだったんだ? あの女は?」
初めての怖い体験でした
これはネタとして提供できるだろうか
いや、ただ変な女が突っ立っていたくらいじゃネタとして弱いか
そんなことを考えながら、スマホを見てみると通信障害はなくなっていました
配信が見れるようになっていましたが、肝心の生配信は放送終了になっていました
私はパソコンをつけて、その配信のアーカイブを最初から見ることにしました
見落としてもすぐに見直せるのが動画配信のいいところです
私はワイヤレスイヤホンで怖い話の朗読を聞きながら、部屋着に着替えたりしていました
やがて、さっき聞き逃した話になりました
配信者が雰囲気たっぷりに話し始めます
「次の話です。これはリスナーから頂いた話です。その人は怖い話が好きで、いつも怖い話を聞きながら家に帰っているらしいんですけど、ある日、怖い話の朗読の生配信を聞いていたら、突然聞けなくなって、そしたら目の前に真っ白な服を着て赤いハイヒールを履いて俯いている女がいたらしいんです」
「えっ?」
私は思わず固まってしまった
それ、まさにさっきの私じゃないか
私はそのまま話を聞くのに集中しました
「気持ち悪いけど、引き返すと相当な遠回りになってしまう。だから、その人から目を離さないようにして、通り抜けたそうなんです。別に女は何もせずただ立ったままで、そのまま何度も追ってこないか振り返りながら家へと帰ったそうです」
どこからどこまで同じ
私はここで本気で怖くなりました
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