捨てられたドール人形
投稿者:寇 (4)
そんな膠着状態に我慢の限界を迎えた俺とAは、Bの住むアパートに突撃する事にした。
前期の単位を全て台無しにしても、今からならまだ授業を詰め込むだけで四年で卒業できる。
万が一、Bが自暴自棄になって大学を辞めても寝覚めが悪いし、友達が一人減るのは耐え難いので、俺とAはBにやる気を出させる為に実力行使に出たのだ。
Bのアパートは鉄筋入りだがそこそこ年季が入っている。
住人の殆どは学生らしいが、その一階の角部屋がBの部屋で、俺達はアパートに到着するなりチャイムを押し続けた。
というのも既に十回以上は押しているがBが出てこないのだ。
音は外にも届いているので電池切れの様子は無いし、何となくだが中に人が居る気配もする。
「おーい、B!でてこーい」
時間にして約10分ちょい。
なるべく優しくドアを叩きながら名前を呼んでいると、唐突に玄関のチェーンが外された音が聞こえ、次の瞬間には重たい扉が開かれた。
そうして半開きとなったドアから顔を覗かせた家主の表情を見て、俺とAは絶句する。
「え、おまえBか?」
「どうしたの、お前?」
そこには随分と痩せこけてしまって人相が変わったBが居た。
浮き出た頬骨。
葡萄の皮を塗りたくった様な隈。
ランニングシャツと短パン姿だったが、全体的に骨と皮の様にやつれていた。
そして何より、ク〇リでもやってるんじゃないかと疑われる垂れ下がった瞼と蕩けた双眸が印象的で、俺達はその様子を見てひどく狼狽えていたと思う。
「ああ、なんか久しぶり」
硬直している俺達に向けてBがそんな当たり障りのない事を言っていたが、俺は正気を取り戻した後、Bに「お前、飯食ってんのか?」とおどおどしながらも訊ねた。
「あ?ああ、うん」
しかし、Bからは凡そ思考回路があるとは思えない様な中身の無い生返事が発せられるばかりで、目の焦点が定まっていないBを見て、Aもどこか居心地の悪さを感じていたのか、早々に本題を切り出す事にした。
「お前、なんで大学来ないの?」
「え?ああ、まあ、何となく……」
それでもBの生返事は続いて堂々巡りになるので、一先ず別の話題を振ろうと思った俺は、Bの彼女の存在を思い出し、その話をする事にした。
「おまえ彼女居るんだろ?ご飯とか作ってもらえよ」
ただ、俺の質問が悪かったのか、Bは途端に表情を曇らせる。
「…あ?俺、彼女いねえよ」
その切り返し方は以前のBの様で安心したが、俺は「いやいや。結構前だけど、電話した時に女の声聞こえてたから」と愛想笑いを浮かべながら返す。
するとBは「だから居ないって」としかめっ面で答えると、「用がないなら帰れよ」とドアを閉めようとする。
面白くて結末までドキドキしながら読んだ
人形に魅入られるのって怖い
良ホラーでした!
実写とかで観たくなる話
人形こわい
面白かった!
次回作も期待してます!!
正直、怖くはありませんが好きです。
小学生の時に見た「私が拾った人形を捨てようとする兄が夢の中で人形に惨殺されて、起きたら兄が殺されていて近くに人形が落ちていた…」って話以降、「生き人形」の話を含め人形話好きです。