ご近所さん
投稿者:きな粉もち (3)
短編
2022/08/28
05:09
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「また、また、また、また。
疲れました。足、私。
寂しいよ。じゃなかった死ぬん。
可哀想、この子、ください、代わって。」
文章になっていないその言葉が
何が何だかわかりませんが
とりあえず断ります。
「できません。それは、ごめんなさい。」
「歩くの?私。もういや、
代われるの?なったらいつに。」
女性はそのままカラカラカラカラ
音を立てながら
神社の前を通り過ぎて行きました。
気を取り直して私の方も歩き出します。
するとまた前の方に人影が見えました。
スーツ姿の会社員さんです。
首には縄が括られています。
もう片側の縄の端は、
木の枝に括りつけられており、
今にも枝が折れそうなくらい曲がっています。
これまた、いつものご近所さんです。
彼もまたこちらへ語りかけてきました。
「んご、ふが、ふがが、、、っぐっるじ…」
息も苦しいのに
私と喋る意味はあるんでしょうか、
随分と奇妙な方です。
「お疲れ様です。こんばんは。」
私はいつものように挨拶しました。
何とか言葉を返そうと必死な彼は
首の縄を解こうとしていますが、
彼の足はまだそれがかかっていることなど
お構い無しに歩こうとしています。
ごぎゅりと異音がして首が外れました。
「ぽぉぉぉ…ぽぉぉぉ…」
彼は首のあった部分の穴から
気味の悪い音を立てながら
神社の方へと向かっていきました。
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