大学の地下書庫の話
投稿者:グロリア (5)
長編
2022/08/20
23:33
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司書さんにこれにしましたと告げて、俺は自身が持っていた本がボロボロだったのに気づいた。
「あ、これね、貸出できない奴だよ」
俺はその言葉にかなり驚いた。自分が持っていた本なんてこれまで気づいていなかったのだが、相当年季の入ったもので、重たい本だったのだ。そんな本を持ってきたのかと思ってきたし、貸出できないシールは背表紙にきっちりと貼られている。
「それにこの本、本当は場所が違うんだよね」
「え」
「あそこの鍵かけてある部屋にあるの」
そういって指さした先にはロビーのところにある特別な本の部屋だった。希少価値が高いらしいし、人が触ると古いのでボロボロと崩れたりするそうだ。
「けど、本っていいよね。この本ともしかしたら運命があるかも」
俺はその言葉に対してかなりビビっていた。見えてしまった理由が、元の場所に戻りたいという可愛い理由であることを祈ったのである。
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