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呪い・祟り

グロリアさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

クワガタ捕りの罠
短編 2022/01/31 15:23 1,775view

子どものころから昆虫が好きで、やはり王道のカブトムシにあこがれていたが、住んでいた地域にはほとんど生息しておらず、子どもながらにクワガタで我慢、昇華していた。

小学5年の夏、ある週末の夜にいつものように近所の友達とクワガタ捕りに出かけたが、その日は朝からマークしていた木々にもいっさい集まっておらず、みなテンションが下がっていた。

そんなとき仲間の一人が「こっち来い!」とトーンを下げながらも興奮した様子で叫んだので、みなで集まってみると、憧れのカブトムシがしかも2匹樹液をなめていた。

あまりの感動にしばらく捕まえることも忘れてみていたが、われに返り一人が手を伸ばした。

その瞬間、最初に見つけた子がその子を押し飛ばし「これを見つけたのは俺だから俺がもらう」と豪語した。皆納得したが後味の悪い虫取りになった。

その時は、それが皆で行なう最後の虫取りになるとは、またカブトムシへのトラウマをもって今後生きることになるとは誰も予想していなかった。

例の手を伸ばした子は突き飛ばされた時、首に擦り傷ができた。

おそらく朽ちた老木の枝でひっかいたものだったであろう、大事にせず放置しておいたところ、破傷風になり亡くなってしまった。

責任を感じたカブトムシ発見者の友達は学校の屋上から飛び降り自殺。小学生のとる行動とは思えないあまりの衝撃的な事件の展開に町はかなり騒然としたが、時間が不安を風化させ、いつものような生活が戻っていった。

あれから20年がたち、同窓会を木に再び「最後の虫取り」の場となった場所へ昔の虫取り仲間数人といってみることにした。
都市化が進み、近年ではクワガタはおろか蝶やカナブンもあまり生息していないため期待はしていなかったが、自分たちの記憶を頼りに「事件」が起きた場所に行くと、あの時と同じ木が張り巡らした根と共にいまだに存在、みなあっけにとられていた。

暗闇にもだいぶ目が慣れその木を見ていると、小さく動く点がふたつ。よく見ると、二匹のカブトムシだった。

途端にみな恐怖心にかられ、そこから離れるべき一目散に駆け出し街へと戻ろうとしたが、酒も入っていたためうまく走ることができずある者は転倒、ある者はそのばにうずくまってしまった。何とかみな家にたどり着き事なきを得たが、翌日例の子のお墓に集合し、思い思いに詫びることにした。

それで霊の供養になり不気味な経験が収まるどころか、毎日カブトムシの悪夢にうなされ続けているが、昆虫ショップで働くことをやめられず、夢と現実の間で暮らし続けている。

ー20年ぶりの同級生の懺悔

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コメント(3)
  • 昆虫の祟るのでしょうか…

    2022/01/31/17:35
  • ↑間違いました。
    昆虫も祟るのでしょうか…
    の間違いです

    2022/01/31/18:41
  • 呪術のネタに蠱毒とかあるし虫も祟るんじゃね?
    知らんけど

    2022/01/31/20:22

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