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呪い・祟り

窓際族さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ちょっと脅かそうと思っただけなのに
短編 2022/08/13 19:39 2,114view
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 今から10年ほど前、近所にKという女性が住んでいました。彼女は2人の小学生の子を持つ母親で、手癖が悪いことで有名でした。Kの家庭は別に生活に困っているわけではなかったのです。むしろ立派な一軒家に住み、車も大きなワゴンタイプ。服やカバンもわりと高いものを持っていました……もっとも、それらについては盗品でない保証はありませんが。

 それはともかく、ある時Kが私のパワーストーンブレスレットを盗んでいったことがありました。親子で連携して、高そうなものから優先的に、大胆に盗んでいったのです。おまけに3kg以上あるアメジストの原石まで盗んでいく始末。これでいて「いらないからってたくさんもらった」と言い張る度胸には呆れるしかありませんでした。

 しかしもっと呆れたのは警察の対応。Webカメラを応用した監視カメラを仕掛けていたので明白な証拠があるにも関わらず、警察は被害届を受理しませんでした。金額は小さいうえにご近所付き合いもあるし、子供がやったことでもあるし何よりぜいたく品だから(子供の将来のためにも)当事者同士で話し合って欲しいなんて言う始末。

 とはいえ警察も大変らしいですし、警察に噛み付いても仕方がありません。代わりに私はちょっと脅かしてやることにしました。Kの子供が通っている学校に、KとKの子供たちが盗みをしていること、盗みをしているところの写真、「子供のやったことだし穏便に済ませるつもりだがあの石の中に実験的に呪いをかけたものがあるから早く返して欲しい、さもないと手遅れになるかもしれない」といったメッセージをメールで送りました。普通なら「何言ってんだこいつ」で終わりでしょうが、一応は占い師っぽいことをやっていたので教師たちはまずいと思ったのでしょう。教師たちは警察の何百万倍も親身になって対応してくださいました。

 ところがK一家は当然のことながらそんなことくらいでは動じませんでした。「あれはもらったんだから!」「やっぱり惜しくなったから嘘をついている」「親戚にあげちゃった」などとわめき返す気はゼロ。しまいには「私たちや親戚に何かあったらどうするの!」などと逆ギレする始末でした。

 そしてそんな騒ぎがあってから数か月後。私は学校に呼び出されました。なんでも私のせいでKの親ががんになったのだとかなんとか。聞けば、盗んだアメジストのクラスターを実家に持っていったのですが、それからというものの両親の身体がどんどんおかしくなっていき、父親の方はがんに、母親の方は心臓の病気になったそうです。Kは私に、実家まで行って呪いを解くよう要求し、医療費と慰謝料、それから新しい健康のためのパワーストーンを請求してきました。そこで、私はこう言いました。

「アメジストというのはね、正気を司るパワーストーンなのですよ。そのパワーたるや酒飲みの神をシラフにするほどね!」

「今回のことで、あなたも本当は盗みは良くないと分かったでしょう。石は人をちゃんと見ているのですよ。それとも、今の生活を続けて他の家族を犠牲にしますか?」

 Kは逆上しました。そして、Kは私が子供を殺そうとしているということで警察を呼びました。

 ……その後のことはお察しの通り。石は返ってはきませんでしたが、浄化やプログラミング(石をパワーストーンとして使うための準備)はしていたのでちゃんと仕事はしたようです。Kは結局仕事を失い、家を失い、その後どうなったのかは知る人はいません。今は実家で1人で住んでいるという噂もありますが、いやはや、ともかく盗みは良くないものです。

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コメント(2)
  • 戦慄しました

    2022/08/13/20:26
  • KはクズのKですね?

    2022/09/18/23:49

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