消えた『たかしくん』
投稿者:煙巻 (8)
というのも、小学校の同窓会、単なる連絡が付いた人に限った身内の飲み会の様なものだが、その連絡網が実家に回ってきたと母から連絡があったので帰省するに到った訳だ。
俺は久しぶりに実家に戻る幸福感と懐かしい面々に会える嬉しさから当日は朝からウキウキな気分だった。
地元の居酒屋チェーン店の一角を予約をしたらしく、その店に顔を出せばすぐに騒がしい集団の声が耳に入り、それが小学校の同級生達だと第六感で分かる。
店員に予約した団体名を告げれば、やはりその集団の席に案内されたので、俺は内心ガッツポーズを取った。
「えっと、久しぶり。俺、〇〇だけど…」
正直、小学校での友達とは長らく連絡を取り合っていない。
ただ小学校以来の友人であるAとBとは高校も同じだったから、母から連絡網を受け取った後に同じ内容の連絡が入り、三人で戻る日を話していた。
AもBも他県に進学した身で、久しぶりの地元と懐かしい級友の姿を見て随分と楽しんでいたが、俺が到着したのに気が付くと大きく手を振って迎え入れてくれた。
「おー、遅いって!」
俺は自然と二人の横に座ると、隣には当時委員長を務めていたC子が居て、当時の面影を遺したままの姿に思わず見入ってしまっていると、視線に気が付いたC子が振り返り、目が合った。
「〇〇くん?うわー、久しぶりー」
と、C子は女子大生宛らの親しみやすい笑顔で話しかけてくる。
その振る舞いに気を許したのか、俺は何処か緊張していた体の皮張りを解くことができて、自然と会話を繋げることが出来た。
互いに中学高校大学と違う道を選択した仲だが、まるで当時に戻った様に会話が弾んで楽しめた。
そして、C子と話していると幹事のFがおもむろに立ち上がり、乾杯の音頭を取る。
「えー、時間になったんで久しぶりに揃った皆と一緒に乾杯を取ろう思います」
どうやら集合時刻を回ったらしく、これから料理や何やらが担ぎ込まれてくる様で、Fは飲み物が来る間に随分と雰囲気が変わった全員の点呼を取ろうと言い出した。
俺自身は髪型も含めてさしたる変化は成長以外に無いと思うが、AやBなんかは髪を染めていたり服装の趣味も突き抜けている事から、確かに点呼でも取らなければ誰が誰だか分からない人物も居る。
そう考えるとC子はよく俺を一目で判別できたものだ。
まあ、それだけ本当に俺が変わってない証拠なのだろうけど、少し寂しくも思えた。
Fが紙に印刷された名簿を読み上げて点呼を取ると、呼ばれた人が元気よく手を上げて答える。
その度に風貌が様変わりした級友を見て、俺は脳内で幼少期の姿と照らし合わせて笑っていた。
全員の点呼が終わった後、Fが欠席者の名前を読み上げていく。
その最中には「ああ、居たなー」とか「会いたかったー」という感想がこぼれていて、欠席者の中には懐かしき担任の名前もあった事から全員が少し残念な気持ちになった。
まあ、担任はただ結婚退職した後県外で暮らしており、今は子育て等が忙しい時期で来れなかっただけなので、代わりに電報を送ってくれたらしくFが代弁となり内容を読み上げてくれた。
今度は担任や欠席者も含めてまた揃いたいものだ。
そう思った俺だが、ふと違和感に気付く。
担任の電報を読み終わり、既に全員が配られた飲み物を手に取った事から、これから乾杯を行う事が容易に想像できる。
しかし、まだこの場におらず、尚且つ欠席者に含まれていない人物が居る。
そう、たかし君だ。
苗字知らんのか?
↑そういう話じゃないと思うのだが・・・
前に怪談のイベントか何かで、「自分しか覚えてない小学校時代の同級生がいる体験談」が意外と多いと話題になってた
イマジナリーフレンドとはちょっと違う感じもあって面白い
どういうこと?
面白かったです
この話がわからない人がいるのがわからない
なんだよc子と結婚したかと思ったのに…