不快なニオイ
投稿者:ぴ (414)
私は昔、いやいや押し付けられて家庭教師に勉強を教えてもらっていた時期があります。
最初は塾に通っていたのですが、もともと飽き性で面倒くさがりだった私は、早々に塾をサボるようになりました。
親はカンカンに怒ってしまって、それなら仕方ないと私に無断で家庭教師を雇いました。
私は全然乗り気ではなかったけど、親に押し付けられて仕方なく、その家庭教師にマンツーマンで勉強を教わりました。
相手は私よりもいくつか年上だけどまだ若い人でした。
見た目は清潔感があって、はっとするほどではないけどまずまずの美人だったと思います。
でも私はこの家庭教師の先生のことが好きになれませんでした。理由の一つはあからさまに私を馬鹿にしていたからです。
要所要所で私のことを鼻で笑っているのが分かりましたし、親のすねかじりがっていう態度を何度も取っていて、それがカンに触りました。
そしてもう一つ、家庭教師の先生が来るといつも変なニオイがするのです。
何というか腐った臭いというかとにかく気持ち悪くなるような臭いです。
私はその匂いが部屋に充満するのが嫌で、どうにかして早くクビにしたいとずっと思っていました。
その日も家庭教師が来る日で、私はいやいやその先生を部屋で待っていました。
やってくると真っ先に親に大変感じよく挨拶するのです。
私には態度が悪いのに、私の親には明らかに態度が違っていました。
それをしらっとした顔で一瞥し、私は部屋に入ってきた先生を迎えたのです。
部屋に入ってきた瞬間に、ふわっとあのいつもの腐ったにおいがしてきて、私は思わず鼻を摘まみました。
いつものこのニオイが益々私を不快な気持ちにさせました。
勉強を見てもらっていたときに、私はだんだんと我慢できなくなりました。いつにも増してあのニオイが酷いのです。
いつもは腐った生ごみみたいなニオイが今日は数倍増しで部屋を汚染します。
すこぶるニオイが充満していて、息苦しくなりました。
だから私は「先生、いい加減にこの変なにおいどうにかしてよ」と正直に言ったのです。
すると先生は何の話とばかりにキョトンとして私を見ました。
「においって?」と不思議そうに先生が聞くので、「悪いけどずっと臭ってる」とイライラした感じで言いました。
私は先生が来るといつも変なニオイがすることを伝えて、文句を言ったのです。
いつもは部屋の扉を少し開けたりしてごまかしていましたが、今日はさすがに我慢ならないくらいのニオイだったのです。
そして先生が「どんなにおいがするの?」と聞くので、私は「腐ったもののにおい」と素直に言ったのです。
そう言った後の先生は急激に顔が真っ青になり、明らかに様子が変でした。まるで、私がいう腐ったにおいに覚えがあるみたいな反応でした。
その日は調子が悪いということで、家庭教師は早々に帰っていきました。
私は部屋に残った残り香が我慢できなくて、空気清浄機で部屋のにおいを取りました。
ただ私がおかしいなと思ったのは、空気清浄機が何の反応もしないことです。
魚臭症でしょうか。