後ろの頭陀袋
投稿者:きな粉もち (3)
長編
2022/08/03
01:34
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刺激を腸に与えないように、
体を揺らさないようにゆっくりゆっくり
山道をあるいて、ようやっとトンネルの
入り口につきました。年季が入った見た目で
入り口には緑が生い茂っていていたことを覚えています。
車にひかれないように気を付けながら、
脇の小さい歩行者用に設置された
トンネルの方に足を向けました。
床は石材でできており中は
少しばかりの足跡があるばっかりで、
苔むした壁面と切れかけの電灯が
まばらにあるだけ。
人通りが少ないことが一目でわかる、
いかにも田舎のトンネルというような風貌。
腐ったような臭いや腹痛と闘いながらゆっくりゆっくり歩を進めていきました。
ひとひとひとひと、僕の足音だけが
トンネルの中には響きます。
ざぁざぁと激しい雨が降る外とは違って
中は静か。
どことなく薄気味悪さを感じて歩く
ペースをあげたときのことです。
「ぺたぺたぺたぺた…」
思わず足を止めました。
ふと気づいたんです自分と違う、
後ろから聞こえるワンテンポ遅れた足音に。
なにぶん、この時間です。
仕事をしている僕ならともかく、
普通の人がこんな時間にこの先にある寺に
用事などあるはずがありません。
奇妙だなと感じつつもここで引き返しても
トイレはないのでそのまま歩き続けました。
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間違い電話かな?
最後に何が起こったのか最後までぞくぞくするお話