夜の路地に響く歌声
投稿者:壇希 (11)
短編
2021/02/09
22:18
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目の前の母はギラギラとした目を見開き、ギリギリと歯軋りしながら私の事を見上げていました。
私の記憶はそこで途切れていて、気付いた時は家の玄関の前に突っ立っていました。
家に上がると、いつも通りの母が鬼の形相で待ち構えていて、みっちりと帰宅遅延のお灸をすえられました。
母はもちろん清潔な服を着ていて、髪も綺麗に手入れされています。間違えようがありません。
しかし、あの時の女性も、どう考えても母だったのです。
あれから二十年近く経ちましたが、未だに母にあの時のことを言えないでいます。
私も母も今まで何も変わったこともなく、今も元気でいます。
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