誘いの手
投稿者:新伝 (4)
私の住んでいた地元には昔名高い村だった場所があります。
昔から人々が多く住んでおり山も多く果物や穀物も多く実る豊かな土地で、山からの雪解け水も流れており災害も少なく人々が多く住んでいる村がありました。
そこは毎年必ず豊作の行事を行ったり村の人々全員が家族のように過ごしていました。
今から100年程前に少子高齢化に伴い村は消滅してしまい住んでいる人も居なくなってしまいましたが、そこでは昔から村の人々ですら近付いてはいけない場所がありました。
生活用水として必要な用水は山の頂上付近に貯水庫があり、そこから生活用水が村に行き渡る仕組みになっていました。
そこは古い時代から存在していた誰が作ったかも分からない貯水庫でしたが村に絶対的に必要な用水でした。
なので、そこは毎月必ず貯水の確認と汚水などを防ぐ為に必ず村の人々が周回で必ず掃除する事になっておりました。
貯水庫の中は例え毎月掃除をしたとしてもコケや虫などがわいたりしてしまう為、貯水庫には必ず汚れがそこまで入らないようにする為に蓋をしておりました。
ですがそこは厳重に古い江戸時代の頃の蔵の鍵のような物が付けられており子供では到底壊す事が出来ない頑丈さを持っていました。
村の貯水庫は必ず大人だけで行くのが仕来りで子供や幼いわが子を抱えて掃除に行ってはいけないと言われておりました。
しかし、そこは山の頂上付近でもあった為滅多に子供が近付くなんて事はありませんでした。
親からの言い伝えもあり子供は絶対その貯水庫にも近づく事はありませんでしたしそこには昔から子供を食らうと言い伝えられている獣も出るのだ、と教えられていたからでした。
けれど獣が出る、と言う言い伝えは子供を脅す為だけの言葉でそこの山には穏やかな獣しかいなかったので子供を食うなんて獣は存在しておりませんでした。
ですが、ある日一人の村の子供が貯水庫のある山の頂上まで親に内緒で付いて来てしまったのです。
親はその事を知らないまま村の大人達と共に毎月の掃除を行いました。
子供は親に気付かれないように遠巻きから親を見つめて山に散策して歩いてしまいました。
時間が経ち親が掃除を終えて山を下りて行きました。
しかし、子供は親が山を下りた事を知らずにそのまま貯水庫の側の薮の中で一人散策をしていました。
もうそろそろ、親が掃除を終えて帰る頃だろうと思った時には既に貯水庫には誰一人いませんでした。
親がいなくなった事に気づいて子供は慌てて貯水庫の周辺を一人探し歩きました。
ですが、そこは大人でも大変な土地だった為子供の足では到底探し出せるような場所ではありませんでした。
子供は周囲を探し歩き回りましたが結局親を探す事はできませんでした。
辺りも暗くなり獣が出ないとは言え周囲は真っ暗な闇の中で子大人の足でも明かりがないと何処を歩いているか分からない場所だった為、子供の目では周囲を見渡す事のなど不可能でした。
子供は暗くなっても探して歩いてみましたが結局朝まで待って見る事にして貯水庫の側で休む事にしました。
お腹も空いてしまい喉の乾きも出てきてしまい子供は貯水庫の頑丈な蓋をこじ開けようとしました。
ですが貯水庫の鍵など大人の手でも開ける事は出来ないのに子供の手では到底開ける事など不可能でした。
子供は疲れもありましたが空腹、喉の乾きに耐えきれず鍵をこじ開けようともう一度試してみました。
すると貯水庫の後ろに鍵入れの為の木箱があるのに気づきました。
そうです、そこは大人達が村の仲間達の間で鍵を無くす事がないように木箱を作りそこに鍵を入れていたのです。
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