遺品のぬいぐるみ

私の親戚は大金持ちで、土地をいくつも持っているようなそんな人でした。

その人が亡くなってしばらくした頃、親戚に不思議な頼みごとをされたのです。

どうか遺品をもらってくれないかという頼みでした。

不思議な頼みだと思いましたが、小さいころから仲良くしていた親戚のお姉さんからの頼みだったので、私は快くOKしたのです。

遺品は美しいデザインのライターのようなものから、さまざまなアンティークな品が主でした。

一つだけちょっと異質なものがあり、それは薄汚れた犬のぬいぐるみでした。

アンティークな綺麗な人形ではなく、犬のぬいぐるみなんて遺品の中にあるのが不思議でした。

そしてその遺品を預かってから変な夢を見るようになりました。

それは知らない女に首をしっかり掴まれて、締められる夢でした。

その女は思わず怯んでしまうくらい憎々しげに私を睨み、力いっぱい首を絞めつけます。

そんな夢が2～3日続いて、私は耐えられなくなり家族に相談しました。

そしたら驚いたことに、家族みんなが同じ夢を見ていることを知ったのです。

私たちはちょっと怖くなって、その遺品をお寺に預けて供養してもらうことにしたのです。

そしたら供養してもらったその日の夜に私はまたあの夢を見ました。

ただし、いつもの夢と違い、夢の中の女は悔しげに歯を食いしばり、「口惜しい」とずっと呟いていました。

そして最後に「この恨み末代まで祟ってやる」と呟いて、目の前から消えたのです。

この夢以降に私たち家族があの女の夢を見ることはなくなりました。

お寺の住職さんが言うには長く一緒にいたぬいぐるみや人形には死んだ人の魂魄が入りやすいんだそうです。

あの遺品の犬のぬいぐるみに女の怨念が宿っていたのかもしれないと私は思っています。

そして最後にあの女が言っていた「末代まで祟ってやる」という言葉が少しだけまだ私を不安にさせます。