軋む音
投稿者:ぴ (414)
私は父のそのような態度にすごく不信感を持ったし、なんとなく嫌な予感がしていました。
そしてその予感は的中します。
母が具合を悪くした原因の根本は父の浮気だったのです。
父の浮気は普通の浮気ではありませんでした。あ
とで聞いたところ片手で数えきれないくらい何人も囲っている愛人がいたそうです。
しかも、前に結婚していた奥さんはそのことを苦にして、自殺したらしいです。
そこまでされたのに、父は何の罪悪感を抱くこともなく、複数の愛人との関係を続けていました。
もう病気といえるほど、父はたくさんの女の影があったのです。
私は調べてもらってこれを知ったときに、てっきり母の入院した理由は父の浮気を知ったことだと思っていました。
それを気にして、母があのように元気をなくし、体調を崩していったのかと思いました。
しかし、原因はそれではなかったのです。
母がしばらく病院で入院することになり、私は家に一人でいることが増えました。
父はほとんどが仕事で外泊しており、特に母が入院してからは家に帰ることがほとんどなくなりました。
そして私はこの家で奇妙な体験をしたのです。
私が部屋で受験勉強をしていると、上の階で何か物音がしました。
これまで私はあまりそれを気にしたことはありませんでしたが、誰もいなくなるとなんとなく物音に敏感になるものです。
誰もいないのに何の音だろうと私は上の階を確認しにいったのです。
しばらく上の階の部屋を探って確認したけど、物音の原因になりそうなものは何もなかったです。
首をかしげながら階段を下りていると、「ぎしぎし」という何かのきしむ音がしました。
私はこの音を聞いて、またすぐにまた階段を登っていきました。
やっぱり何もなかったです。
二度も同じようなことがあり、また自分の部屋に戻ろうとしたのですが、そこでふと天井のあたりで何かが揺れているような気がして、はっと顔を上げました。
そこには何もありませんでしたが、奇妙なことに天井のところから「きしきし、ぎしぎし」と不気味な音が鳴っていることに気が付きました。
何の音だろうとじっとそこを見上げていました。
でも動くものは何もないのです。
ただそこの辺りできしむ音がとても不気味に聞こえました。
まるでそこで何かがきしきしと音を立てて揺れているみたいな音でした。
このことがあって、私は眠る前に聞こえてくるきしむ音に敏感になりました。
気にするようになって分かったのですが、いつもこの音がするのは決まった時間です。
深夜の1時過ぎにこの音が聞こえてくるのです。
ここ最近読んだなかで最もゾクゾクした作品。不気味な音の正体を理解したとき、ショックだった!