奇妙な彼氏との同棲体験
投稿者:ぴ (414)
とにかくその日はひたすら謝って、外で外食して、気まずい日を過ごしました。
なのに朝起きたら彼は朝食をいつも通りに作ってくれて、私たちは一緒にそれを食べました。
ただ朝ごはんに入っていた干しブドウパンは食べられなかったです。私は干しブドウが昔から嫌いで、食べられなかったからです。私が「ごめん苦手で」というと彼はなんとも言えない顔になりました。
その日の帰り道に、私は彼の誕生日プレゼントを買いに行きました。
そのときに彼が好きだったものを思い出そうとしたけど、何が好きだったか一つも覚えていなかったです。
私はすごく不思議な気持ちになりました。なぜこんなに長く一緒に住んでいるのに、こんなにも彼のことを知らないのか不思議でした。
そして彼も私が干しブドウが苦手と知らなかったことを思い出して、奇妙な違和感を感じました。あまりにお互いを知らなすぎると、不自然に感じたのです。
そうこう考えながら、私は彼の誕生日プレゼントに高価なネクタイとタイピンのセットを買いました。
職場に必要なネクタイやタイピンなら無難だし、相手の好みが分からなくても身に着けてくれるだろうと思ったのです。
こうして無難なプレゼントを用意して、家に帰りました。
家に帰って彼にプレゼントを渡したら、彼は喜んでくれました。
ただ少し申し訳なさそうな顔もしていて、一日遅れで誕生日プレゼントを渡したのに、なぜそんな顔をするんだろうと不思議に思いました。
そしてその翌日、いつも通り彼が作った朝食を食べて私は仕事に向かいました。
仕事が早めに終わったので、久しぶりに私が彼にご馳走しようかなと思ったのです。
彼が好きなものを作ってあげようと思いました。
ただいざそのための買い物をしようとしたら、なぜか彼の好きな食べ物を思い出せないことに愕然としました。
今まで一緒に住んでいたけど、そういえば彼の好きなものを何も知らないと気付いたのです。
仕方がないので、母直伝のシチューにすることにしました。た
だこんなに一緒に暮らしているのに、なぜ相手の好きなものすら覚えてないのか自分が怖くなりました。
こうしてその日は彼と一緒にシチューを食べて、食後に一緒にテレビを見てそれから一緒のベッドで眠りにつきました。
いつも通りの翌日になると思ったら、朝起きると隣に寝ていたはずの彼がいなくて、彼を探しました。
だけど、家の中には誰もいなくて、そして彼は二度と戻ってこなかったです。
私はその後ゆっくりと自分の記憶を辿りました。
そしてどうしても彼氏の名前が思い出せないことに気づいたのです。
その後家族や友達や同僚に聞いてみたけど、私に同棲している彼氏がいることを知っている人は一人もいませんでした。
確かにあの3日間、私の彼氏だという人と二人で暮らしていました。
そして付き合って1年以上の彼氏だと思い込んでいました。
だけど、彼がいなくなってから思い出してみる限り、私の記憶には彼氏がいた記憶がないのです。
あのときはなぜ彼のことをこんなに知らないのかと申し訳ない気持ちになりましたが、今思うと知らなくて当たり前です。
だって私には同棲中の彼氏なんて最初からいなかったのです。
妄想なのか心霊なのか曖昧なのが面白かったです
なんということでしょう
↑いや、妄想でも心霊でもなく不審者だったんだよ