ある山道脇の塚

すぐさま俺とＢ子はシンクロする様にスマホでも地図を確認した。

結果は当然の様に一本道しか表示されなかった。

グーグルアースで航空写真を見て見るが、木が生い茂るだけで道路はこの一本道しか見えない。
昨晩の分かれ道は、特段森林に天蓋を覆われてはいなかったので、もし分かれ道や車が通れる幅の脇道があればグーグルアースで確認できないという事はないだろう。

「とりあえず戻ろうか」

俺は車を発進させ、一先ず俺のアパートに引き返す事にしたがＢ子は何やら納得でき無さそうに頷いた。

納得できない事は俺も同意だが、昨晩迷い込んだ道がどうやっても見つからないのだ、どうしようもない。

こうして俺達は意図せず山道で車中泊をするハメになったが、何とか無事に帰路につく事ができた。

あの分かれ道と卒塔婆の建てられた塚、そしてあの白いおっさんは何だったのだろうか。
この日以降、あの山道には立ち寄らない事に決めているが、運転をしていると偶に思い出してしまう。

余談だが、Ｂ子とは「あんたの顔見てるとあのおっさんの事を思い出すから無理」との理由で一方的にフられた。
俺にとってはおっさんを思い出すって理由でフラれた事が一番の恐怖体験だった。