開かずの間のある合宿所
投稿者:ネグホ (3)
そんなことがあった次の日あたりでしたか、夕飯を食べている時に、宿の方から「みなさん、ちょっとこちらに来て欲しい」と声をかけられました。
いきなりなんだろう?もしや墓地で肝試しをしたことについて注意をうけるのかな?とちょっと緊張しつつ、みんなでぞろぞろと宿の方についていきました。
建物の奥の方へと続く、薄暗い歩くとギシギシいう廊下を通り、着いたのは一番奥の部屋の前でした。
その部屋は見るからに古びた和室で、改装された様子はありません。
何かがおかしい気がして、ぴったりと閉められた障子をよく見ると、隙間と言う隙間に茶色いガムテープで目張りがしてあるではないですか!
襖と柱の間の縦方向だけでなく、襖の上下の横方向にも、びっちりと封印するようにガムテープが張られています。
異様さに背筋がぞーっとしてきました。
もしやこれは、話によくきく「開かずの間」では?と。
恐くて友人と手をつなぎながら宿の方の話を聞きました。
こわばる私たちの前で、宿の方が低いゆっくりした声で話し始めました。
その和室は、明治時代だか大正時代だかに、そこの家の娘さんの部屋だったそうです。
娘さんには心に決めた男性がいたのですが、両親の決めた人に嫁がなくてはならなくなり、婚礼の前夜にその部屋で自ら命を絶ったそう。
詳細は忘れてしまったけれど、娘さんが日記を今もずっと探しているのだとか。
「それ以来、この部屋は長い間ずっと封印しているんです。だから、この部屋には近寄らないように、そして絶対に開けないで下さい」と。
なんということでしょう!
先輩達の見た、日本髪で和服の女性はその娘さんだったに違いありません。
今も悲しい気持ちで日記を探して歩き回っている姿だったのです。
とはいえ!なぜ今それを私たちに教えてくれたのでしょう?
なんの意図があって?
日本髪の女性を見た話は、誰も宿の方には話していないはず。
その場で、全員茫然自失です。
その後、みんなどうやって部屋に戻ったのか、部屋で何を話したのか覚えていません。
まだ合宿の残り数日あるのに。余計な事言わないで欲しかった・・
それから最終日までの恐ろしかったことといったら。
1人で行動できず、何をするのでもみんなで一緒に固まりつつ、おびえつつ過ごしたのでした。
墓地で背中に乗ってきた人と、この娘さんが関係があるのかどうかはわかりません。
ただ、私は全然覚えていないのですが、墓地でお経をあげてもらい背中の重みが取れた時、私は涙を流しながら「悲しい」と言っていたそうです。
この時の夏合宿は、ある意味忘れがたい記憶に残る合宿となりました。
初めて見た開かずの間、墓地での体験、幽霊を見た先輩たち。
どこだろう、気になる
ストレートな体験談好き