同僚のドッキリ…?
投稿者:てんつる (3)
これは少し前に、仕事が忙しくて夜遅くまで会社に残って残業していたころの話です。
誰もいない部屋で空調の音が響き渡る中、はやく終わらせようと急いでいました。
何故か?
私の働いている職場では、「幽霊を見た」ことがある人が何人かいたからです。
今まで心霊体験が身近に起こったことはないけれど、多くの人が「見た」というので怖くて仕方ありませんでした。
しんと静まり返った部屋で、空調とキーボードをタイピングする音だけがカタカタと響いています。
しばらくして、一区切りついたのでさて帰るかと、帰り支度をはじめた時。
職場の電話が鳴りました。
こんな遅い時間に誰が……? 不審に思いながら電話に出ようとしましたが、ちょっと距離があったからか、受話器を手に取った瞬間に音がやみました。
もう少しで終わるし、電話はかけ直さずに無視しようと思って帰り支度をしていたのですが、その時おもむろにドアがコココン、と鳴りました。
明らかにノックの音でした。
ああ誰かが忘れ物でもして、取りに来たのかなと思いました。さっきの電話も、誰かいないか確認でかけたのだろうと。
誰もいなかったから取りに来たのだろうと。
ドアに近い位置にデスクがあるため、ノックしてさほど時間をおかずにドアを開けました。
……しかし、誰もいませんでした。
え? 何の音?
ノックの音は気のせいだった?
怖くなってきた私は、先ほどかかってきた電話をリダイヤルしました。
さっき起こった出来事を誰かに話したい。
話したらちょっと安心するかも、と思って、必死に出てくれ……と祈りました。
と、そのうちコール音が聞こえてきました。
あれ? おかしいなと思っていると、廊下の影から同僚が現れました。
「ばれたかー、こっそり脅かそうと思ったんだよね。いるの知ってたからさ」
ああ、この人がドアをノックして隠れてたんだ、と私は安心しました。
「やめてよね、本当に怖かったんだから」
私は安心しすぎて、少し涙目だったと思います。
「まあ、電話でなかったから直接行って脅かそうと思ったんだけど、先に電話かかってきたからさ」
?
「あーあ、あともう少しでドアまで着いたんだけどな」
……?
じゃあ、あのノックは?
幽霊が出る職場なんてとてもいられないな~