お風呂の曽祖父
投稿者:てんつる (3)
これは私の母親がある日実家に寝泊まりした日の話です。
その日は雨が降っていて風も強く、日帰りの予定でしたが、帰るのが大変だということで泊まっていくことになりました。
実家では祖父母が二人で住んでいて、二人分の寝室はありましたが、三人で寝ることは難しいので、母は別室の曽祖父の仏壇がある和室で寝ることになりました。
仏壇の横で寝るということで、母は少し不気味に感じたそうですが、帰るのも難しく、それ以外の場所に布団を敷くことのできるスペースもなかったため、仕方なくそこで寝ることにしました。
母と祖父母は一緒に晩御飯を食べた後、順番にお風呂に入ることになりました。
母は最後に入ることになったので祖父母がお風呂に入っている間に布団の支度をすることにしました。
母はその時、なんとなく仏壇を見たそうです。すると最初見た時は何も感じなかったのに、その時は写真の中の曽祖父と目があったように感じたそうです。
なんだか不気味に感じた母はさっさと布団の支度を済ませ、祖父母のいるリビングに戻りました。
祖父母がお風呂に入り終わったため、1日の疲れが溜まりに溜まっている母はお風呂へと向かいました。
いつもの通り身体を洗い、お湯に浸かりました。その日は朝から家を出ていたため、相当な疲労が溜まっていたそうで、母は湯船に浸かっている間にうとうとして眠りに落ちそうになっていました。
その時です。うつろな意識の中、曽祖父の声のようなものが聞こえたというのです。
先ほどの部屋での出来事もあり、急いでハッと目覚めた母は、恐ろしくなり急いで風呂から上がりました。
その後、それらの出来事を祖父母に話すと、なんと曽祖父の死因は風呂での居眠り溺死だったことを聞かされたのです。
母はそれまで曽祖父の仏壇を恐ろしく思い呪われたのではないかと一方的に感じていましたが、実は自分と同じ運命を辿らないよう風呂での居眠りから守ってくれたのではないかと考え直したそうです。
その日は曽祖父の仏壇のある部屋でぐっすり眠り、疲れの取れた母は明朝仏壇に拝んだ後、快晴の中ゆっくり帰ることができたそうです。
いい話だ…