助けを求める夢の声
投稿者:ぴ (414)
こっちを見る目がなんだかまるで助けを求めているかのようにうるうる見えてしまって、私は放っておくことができませんでした。
そのまま学校に連れていくことも考えたのですが、子供たちにもみくちゃにされたら可哀そうと思った私は小鳥を手のひらに乗せて、来た道を帰りました。
そして家に戻って、母にお願いしたのです。
「この小鳥が助けてっていう」と私が母に言うと、母はびっくりして「学校は?」と聞きました。
私はこの小鳥が気になってその日は学校をずる休みしたのでした。
どうやら足を怪我しているみたいで、足を引きずりながら歩いているのが痛々しくて可哀そうでした。
母は自力で調べてくれたみたいで、小鳥を動物病院に連れていきました。
そしてしばらくの間足が治るまで家で面倒を見ることになりました。
多分何か敵に襲われて動けなくなっていたんだろうと獣医の先生は言っていました。
私は学校に行くとき以外はずっとその小鳥に付き添っていました。
小鳥は私がいるときは安心しきった顔をしていて、とてつもなく可愛らしかったです。
私もまだ子供だったので、何の鳥だったのかは分からなかったです。
ただ小さくてふわふわで本当に可愛かったです。
その日の夢は輪をかけて不思議でした。
語りかけてきたその人は「ありがとう、ありがとう」と、私にとても感謝を述べるのです。
どうやら足が治ったみたいで、私は良かったねと言ってあげました。
小鳥の足もよくなるといいなと思ったと思います。
翌朝ぱちっと目覚めたのですが、いつもの小鳥のぴよぴよいう声が聞こえません。
私は不思議に思って「小鳥は?」と聞いてみたら母が「足が治ったから昨日の夜に山に戻したわよ。元気に飛んで行った。」と話しました。
それを聞いて、私は悲しくて泣きじゃくりました。だって急にいなくなると思わなったからです。
すごく小鳥に愛着が湧いていたので、急にいなくなったのが悲しかったです。
母はとてもおろおろして、私を慰めてくれました。こ
うして私の前から呆気なく、あの小鳥はいなくなったのでした。
しかし、不思議なのは小鳥を助けたその時期になると、ちょくちょくと家の軒下に真っ赤な木の実が落ちていることでした。
うちの庭には実ができるような木なんて生えていません。うちの周りにもなさそうでした。
なぜ木の実が落ちているのか不思議でしたが、母は「もしかしたらあの小鳥の恩返しかな?」と私に言って喜ばせてくれました。
あの夢とあの小鳥の出来事がリンクしているとは限らないでしょう。
しかし、助けを求める声を聞き、その翌日に小鳥を助けたことは本当です。
あの小鳥があの夢の主なんて夢物語みたいなことはないと思うけど、それでもちょっとそうだったらいいなと思ってしまいます。
あの小鳥の出来事は今も大切な思い出として私の気持ちを温かくしてくれます。
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