目に見えない末っ子
投稿者:ルカ (2)
短編
2022/06/23
23:42
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中学生の頃、休日の朝のことです。
先に起きていた父と朝食をとっていると、父に「昨日の夜中、俺の上に乗ったか?」と聞かれました。
「乗ったかって?そんなことするわけないじゃん」と意味のわからない質問に面食らいながらも答え、父も「そうだよな…次女かなぁ」と、私の6歳下の次女のいたずらを疑いはじめました。
小学校低学年の妹は、私と二段ベッドで寝ており、わざわざ夜中に両親の寝室へいたずらだけのために行くとは思えません。「そんなこと次女もしないと思うけど」と私は答え、寝ぼけた父が夢を見たんだろうということで話を切り上げようとしました。
「俺が寝ぼけてたのかなぁ。誰か女の子が俺の上に乗って、クスクス笑ってたんだよなぁ。でも確かに今思えば次女よりも小さかったような…」
それを聞いて私は突然「ああ、これは本当の話だ」と感じました。我が家は2人姉妹ですが、もっと小さなもうひとりの女の子もきっとこの家に住んでいるのです。女の子がクスクス笑っていたと聞いたからか不思議と怖さや気味悪さはなく、なんだか楽しそうでよかったと思いました。いわゆる座敷わらしなのではないかと思っています。それ以来、我が家には目に見えない末っ子がいるということにしています。
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