トントントン
投稿者:ぴ (414)
あれは中学生の時だったと思います。
もう理由は忘れましたが、両親が泊りがけで出かけて家で一人で留守番をする日がありました。
その日は大雨で、風も強くてとってもうるさかったです。けれどその音は雨風の音に負けないくらいにクリアに聞こえてきました。
私が自室の部屋で眠ろうとしたときに、窓の外で「トントントン」という軽快な音がしたのです。
最初は風のせいで変な音が鳴ったんだろうと決めつけていました。
そして無視して寝入ろうとしたら、再び「トントントン」という音がしたのです。
私はちょっと怖くなったけど、なんとなくその音が気になって眠れなくなりました。
だからそうっと部屋のカーテンを開けて窓の外を確かめたのです。
「ぎゃあああああ」
私は悲鳴を上げました。だって窓の外にへばり付いている人と目が合ったんです。
私の部屋は二階ですがその下に足場みたいなものは一切ありません。
しかもその日は雨風が強い日です。つまり窓の外に人がいられるはずがないのです。
私の声に驚いたようにその化け物はガタガタガタと窓を上に這っていったかと思うと、ジャンプしてどこかに消えてしまいました。
今思い出しても、あれは人間業じゃなかったと思います。
私は今起こったことが理解できなくて、しばらく放心状態でした。
そのあと寝ようとしても寝付けず、顔色を悪くして眠れないまま朝を迎えました。
私は結局あれは夢だったと自分に言い聞かせて、かれこれ数十年経ちました。
信じてもらえなそうで、この話を信頼できる親友一人にしか話していません。
今でもあれは現実だったのか自分を疑うことがあります。
あれは何だったのでしょうか。それからは一人の夜はおかしな物音がしても、あえて確かめないようにしています。
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