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心霊

座馬さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

丑三つ時のシャドーボクシング、からの……
短編 2022/05/31 21:33 882view

取材初日
私「どんな体験をお持ちですか?」
取材対象男性(以下彼)「アンタには見えないかねぇ?」
私「見えませんね」
彼「だろうな、いるんだよ、背中に女が。隠れてやがるんだ」
私「何故そう思うんです?」
彼「夜中の2時な、髪乾かしてるとよ、息遣いが聞こえるんだよ」
私「どんな? 苦しそうな呻き声、とか」
彼「いや、寝息みたいにひどく落ち着いて規則的な、それでいて悪意に満ちてるっつーか、ねっとりとした視線も感じるんだ、後ろにな」

私「振り向てい確かめれば?」
彼「駄目だよ、アイツは鏡にしか映らねぇんだ。しかも俺の背中にピッタリと納まってやがって、どう動いてもくっついて来やがるから……」
私「そいつが隠れられない様に、鏡の前で激しく動いてみたら? シャドーボクシングみたいに」

取材2日目
私「少し瘦せましたか?」
彼「ああ、毎晩コレだよ(ボクシングの構えとパンチを打つ振り)」
私「例の女は見えた?」
彼「駄目だ、ピッタリだよ、どんだけ素早く動いてもな」
私「……。鏡に映るなら、背中側の壁にも鏡を掛けてみれば?」

彼「合わせ鏡ってヤツか?……いやいや、そこまではなぁ……」

取材3日目
私「また随分痩せたね」
彼「まぁな、ずっとだよ、だいぶ上達したぜ(ボクシングの動き)」
私「合わせ鏡はやってみないの?」
彼「やっぱちょっとな、夜中の2時、丑三つ時に合わせ鏡ってのは、気持ち悪くてよ」
彼「それにな、来月からシフトが変わるんだ。もっと早く寝れる様になるからよ、もうあの女が来る事も無くなるって訳さ」
私「それは良かったね。もう気にならない?」
彼「ああ、大丈夫だ、終わったよ。これからは精々早寝するさ……」

その後取材対象とは音信不通となる。

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関連タグ: #声#鏡#髪の毛
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