うちは4人兄弟だったはず
投稿者:ぴ (414)
言われる度に、「4兄弟だから!」と訂正していきましたが、だんだんと世にも奇妙な物語の世界に入ったような奇妙さを感じて怖くなりました。
担任の先生すら「おまえんち3兄弟だろう。何を言っているんだ。」と呆れられてしまい、愕然としました。
頭がおかしくなったのかと自分を疑いながら家に帰ってみると、私と同じく、いやそれ以上に元気のない兄たちがいました。
どうしたのか聞くと、警察に相談したらおかしなことを言われたというのです。
私たちが戸籍上5人家族だと。私も学校で3兄弟だと言われたと話すと、兄たちも驚いていました。
そこから私たちは押し入れの奥に眠ったアルバムを取り出しました。小さい頃から両親が撮りだめている家族写真のアルバムです。
それを順番に見て、私たち兄弟の間で沈黙が流れたのです。
アルバムには長男の姿は1つも無くて、私と次男と三男が笑顔で写った写真のみでした。
そして次男が「そういえば兄貴の名前なんだった?」という質問を投げかけ、私たちはひゅっと息を飲みました。
なぜなら長男の名前が思い出せなかったからです。
そして3人して記憶を整理していきました。
そして分かったのが、私たちは幼い頃は確かに3人兄弟だったことです。やんちゃな長兄と自由人な次男、そして甘やかされる長女の3兄弟でした。
気づいたときにまったく他人の長男がいて、私たちはそれを何一つおかしく思わなかったです。
つまり家族に突然知らない人間が入り込んでいたのに、何一つ疑わずに兄として慕って暮らしていたことが驚愕でした。
「で、あの人誰だったの?」とおそるおそる私が聞くと、「知らねーよ怖っ」と兄は自分の体を摩って、ぶるっと震えていました。
「いつからいたっけ?3年前の家族旅行のときは確かいなかったよね?」「いなかった、でも2年前バーベキューしたときはいた」と記憶のすり合わせを行った限り、2年~3年前からいたことが分かりました。
そもそも、うちは4兄弟だったはずという3人の記憶がそもそも間違いだったのです。
記憶がすり替えられていたことにもびっくりしますが、最初からいなかったようにすっぽり忘れてしまっている私たち兄弟以外にもびっくりします。
この間、長男と長いこと世間話をしていたご近所さんですら、長男の記憶が完全になくなっていたのです。
どうして自分たち兄弟にだけ、わずかに記憶が残っているのか不思議でならなかったです。
私には一時的に優しくて面倒見のいいお兄ちゃんがいました。
もし、この人物と再び会えるときが来るとしたら、私はこの人に何のつもりだったのか、そして何者なのかを聞きたいと思っています。
そして、いつ無くなってしまうかも分からないこの記憶をここに残しておきたいと思います。
未来人って、そういうカタチで現代社会に紛れ込んでるのかもね。
若く見えるニートの叔父(親の弟)が家に上がりこんでいた説。