峠道に現れるスーツ姿の男、と…

車が1台も走っていないことに気付いた。

Ａ峠では対向車もまあまあ多かったし、後続車も多かった。

対向車がいるということは小さな町方面から来ているはずだが、やはりここで分岐してＢ峠は通らないという話は本当なのだろうか…

おじさんの話に信憑性が増したが、車がいないと感じた頃には既にＢ峠の1つ目のトンネルを抜けた頃だった。

そして2つ目のトンネルを抜けた。

彼女は疲れたのかウトウトしているようだった。

カーブを曲がった先に、それは現れた。

観たところ何の変哲もない、トンネル。

しかしなんでかモヤがかかったように見える。

トンネル内部を覆いつくすような、半透明なもや。