正体不明の犯人
投稿者:ぴ (414)
窓が取り付けてある場所も彼と外から確認したのですが、すごく狭い場所だったのです。
これは体の小さな子供でもない限り、この隙間に人間が入ることは不可能だと私も彼も思うくらいでした。
だから気が抜けていたのです。
入浴していて、ふと上を向いたときに視線がバチッとぶつかって一瞬頭の中が真っ白になりました。
そう、窓の外に人がいて、ぎょろっとした目で私を見ました。
私はとっさに「覗かれたー」と叫びましたね。
叫んだ瞬間に相手は怯んだような顔ですぐにいなくなりました。
ちょうど家にいた彼が急いで走っていきました。
すごく頼もしいくらいに行動は速かったです。
だけど、犯人には逃げられた後でした。
彼は全速力でその場まで走ったのに、もうそこには誰もいなかったと言います。
私は恥ずかしさも当然感じましたが、それ以上にあの手紙は本当だったのかと驚きを感じました。
そしてあの狭い場所をよく通れたなとそれにも驚いたのです。
初めて覗きのターゲットになったことで、思ったより恐怖はありました。
それまでは覗きなんて絶対に許せないし、見つけたらとっちめてやるというような気持ちだったけど、実際に覗かれたときって、何もできないことに気が付きました。
恐怖も感じるし、また同じ目にあったらどうしようと思う気持ちも生まれました。
本当のそのあとは気を付けるようになりました。
ただ彼と二人で頭を捻ったのは、あの狭い隙間にどうやって入り込んだのかということでした。
外から窓のところまで行こうと思ったら、ものすごく狭い隙間を通らないといけません。
中肉中背の彼が試しに入ろうとしてもどう頑張っても入れない狭さで、何なら小柄でぽっちゃりでもない女性の私でも入れない狭さでした。
相当やせ細った男性だったのか、子供でもない限りうまく入れないと思います。
さらにあの短い間に逃げられたことも奇妙でした。
例え無理やり入れたとしても、この狭い場所から抜け出るためには、もっと時間がかかりそうな気がしました。
それからしばらく、お風呂に入る間は同棲中の彼が心配して、外を見張ってくれるようになりました。
しかし、どうしても出張で出かける日があり、私一人でお風呂に入ることになったのです。
入浴する時間はいつもより大分遅めの12時ごろに入りました。
それほど深夜なら外に人はいないと思ったからです。
さらに念のため窓を閉じて入ったのです。
途中まで気持ちよく入っていたのですが、窓の外で小さなぱきっという物音がしたのに驚きました。
まさかと思いました。私はお風呂の中で、しばらく身動きできなかったです。
めちゃくちゃ怖かったけど結局ヒトコワではない……?