雨の日に現れる女
投稿者:もなか (5)
これは私が小学生の時に体験したお話です。
その日は雨が酷く、友達が面白がって、雨の日に現れる幽霊の話をしてくれました。
小学校の近くには大きめの公園があり、そこにある大きな木で首を吊った女性が居たそうです。
その日が丁度雨だったことから、雨の日はその女の幽霊が現れる、という話でした。
私は「気味が悪いな」と思いながら下校したのですが、その日は運悪く、家の鍵を忘れてしまったのです。
私は鍵っ子で、毎日家の鍵を持ち歩いていました。両親は仕事で出かけているので、家に帰ってくるのは夜遅くです。
このまま親を待っていても埒が明かない、と思い、歩いて20分ほどのところにある祖母の家に行くことにしました。
降り頻る雨の中、ランドセルを背負い、歩き始めました。
そこでふと、学校で聞いた女の幽霊のことを思い出しました。もしその幽霊に出会ってしまったらどうしよう。
祖母の家への道は住宅街なので、人通りも車通りも少なく、幼かった私はなんとなく怖くなってしまいました。
その時です。家々が立ち並ぶ中、ある小さなマンションのエントランスが目に入りました。
よくある集合ポストがあるようなところを想像してくれればいいと思います。
そこに傘をさした女性が、こちらに背を向けるようにしてじっと動かずに立っていました。
私は恐怖心もあり、久しぶりに人がいたことに少しだけ安心しました。
しかし何かおかしいのです。マンションのエントランスにはもちろん、屋根がありますよね。だったら傘をさす必要なんてないんです。
じゃああの女性は、なぜ必要のない傘をさしていたんだろう。
そう思ったら怖くて、必死に走って祖母の家に向かいました。あれが幽霊だったのかは分かりませんが、不思議な体験でした。
偉い! 子供と侮るなかれ 直感に年齢は関係ないと思うぞ 間違いない 傘の女は…