回り込む人影の正体
投稿者:もなか (5)
これは私が小学6年生の時に体験した話です。
私が育った町は地方の田舎町で、学校の数があまり多くなく、小学校の同級生はほとんどが同じ公立中学校に進学するような環境にいました。
しかし私は小学校にあまり馴染むことができておらず、顔の見知った同級生達と別れたい気持ちから、大学附属の中学校に受験をすることにしていました。
受験日が近づいたある日、神頼みをしておこうと両親に連れられて、近所の神社や先祖の墓を複数巡りました。
そして受験当日、大きなトラブルもなく全ての科目の試験を終え、私は一緒に受験した友人と打ち上げをしようという話になり、友人ひとりを連れて自宅に帰りました。
両親は共働きで、家には誰もいません。私は友人とリビングでゲームなどをして遊びました。
その途中、私はトイレに行こうとリビングに友人を残して部屋を出ました。
そして、廊下でひとりになったその瞬間、突然私の背後から回り込むようにして正面に人影が現れたのです。
私はその影にぶつかると思い、反射的に立ち止まって目を瞑りました。しかし、何かにぶつかるような感触や音はしません。
ぱっと目を開けると、幼い頃に亡くなったはずの祖父が背広を着た姿で、廊下を歩いて行くのが確かに見えました。そして祖父は玄関の前でそのままスッと消えたのです。
私はあまりに驚いて、トイレに行かず部屋に駆け戻りましたが、友人はリビングの同じ位置に座っていました。当然、他に人がいた気配などもありませんでした。
その夜、両親にそのことを話すと、父は「おじいちゃんが見守っていてくれたんだね」と言っていました。
受験した中学校は、友人と一緒に無事に合格していました。
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