優しい老夫婦と騒音を撒き散らす男
投稿者:ぴ (414)
翌日もその翌日も若者は留守にしているようで、私は少し心配になってきたのです。
右隣の老夫婦にも聞いてみたけど、「心配だけど、分からないねぇ」と言われてしまいました。
何度言われてもあれだけ騒音をやめなかったのに急にいなくなると、すごく不安です。
だからアパートの管理会社に聞いてみたのです。
お隣さんが帰ってきませんと。伝えたら警察にでもなんでも相談して対応してくれると思っていました。
それなのに管理会社はあきらかにおかしなことを言ったのです。
「あなたのお隣は誰も入居してません」と私は言われたのでした。
なんと私の隣に若者なんて住んでいませんでした。
若者が深夜に騒音を立てるという話どころか、若者の入居者すらいらなかったのです。
私は驚きとともに、「え、でも右隣の夫婦も心配していました」と私が言うと、管理会社の人は「何言っているんですか。」と一笑されたのです。
そのあと私が住んでいるアパートの同じ階には1組のカップルが住んでいるだけで、他に人が住んでいないことを知りました。
唯一住んでいた入居者のカップルから聞いた話ですが、どうやら私の部屋の右隣も左隣も事故物件なんだそうです。
だから間に挟まれたこの部屋も安い賃貸料金で借りることができたのかもしれません。
何度言われても騒音をやめなかったあの若者は、おそらくもうこの世にいない人でした。
私の予想なのですが、もしかしたら騒音トラブルで昔殺されてしまった人の幽霊なんじゃないかと思っているのです。
そう考えるとあの夜のおかしな物音や悲鳴も紐づけられますし、最後の「ありがとう」ももしかしたら騒音を説教してくれた私への感謝の気持ちだったのかもと思えるのです。
説教をするタイミングが遅かったのですけどね。
あのようなことがあって、私は生きていることだけでも感謝と前向きに思えるようになりました。
今はもうあのアパートのは住んでいませんが、住んでいたことを後悔はしていません。
怖い思いはしましたがアルコール依存から立ち直れるきっかけになりました。
あの二組の幽霊がどうか心穏やかに天国に召されるように祈るばかりです。
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