お稲荷さんの狐
投稿者:KIRIRI (5)
短編
2022/04/08
11:01
1,151view
私が中学生の頃の話です。
その日はソフトボール部の試合があり、頭も体もぐったりなはずなのに、興奮しているのかうつらうつらとしか眠れませんでした。
うつらうつらから深い眠りに入った頃でしょうか、隣の居間にいる家族の話は聞こえるのに体がまったく動かない、金縛りのような状態になりました。
息が苦しくなってきて助けて!と叫んでいるのに、体は寝ているらしくまったく身動きが取れません。
渾身の力を込めて目を開けると、部屋が赤い鳥居と無数の狐でいっぱいでした。確かにそこは私が寝ている部屋なのに!
狐の大群はは声も出さず私をじーっと見つめ、徐々に徐々に距離を詰めてきました。その恐ろしいことと言ったらありません。
私は自分に起きて目を覚まして!と心の中で叫んでいました。狐の大群が自分に覆いかぶさろうとしたときに、ふと膝が動き全身の力が抜け金縛りが解けました。
家族に話しても当然相手にしてもらえず、笑い話で終わってしまったのですが、その日以降も、部活の試合の夜に二回ほど遭遇しました。疲労が極限まで達していてよく眠れず、頭が起きていて体は寝ているという状態のときに起きる現象のようです。今でもお稲荷さんの近くを通ると必ず蘇る恐ろしい思い出です。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 10票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。