おじいちゃんに呼ばれた話
投稿者:KIRIRI (5)
短編
2022/04/20
17:49
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これは母から聞いた話です。私がまだ物心つく前のことなので、自分では全く覚えていないのですが、それはある夏の日の買い物のときに起こったそうです。
私の祖父は持病をこじらせて、長いこと入院していました。なので母は、幼い私を連れて定期的に祖父のお見舞いに行っていたそうです。
その日も母は買い物の帰りに祖父のお見舞いに行こうかと思ったのですが、当時は病状もかなり落ち着いていており、かつかなり暑い日だったので、まだ幼い私を長時間連れ回すのを避け「そろそろ帰ろうか」と私に言いました。私は(自分で言うのもなんですが)聞き分けのいい子どもだったそうなので、いつもなら何も言わずについていくのですが、その日は違いました。「おじいちゃんのとこ行く」と言い出したのです。いつもはこんなこと言わないのにな、と不思議がる母に向かって、さらに続けて「おじいちゃんが呼んでるよ」と言ったそうなのです。母はその言葉をあまり真に受けていなかったようですが、顔見せついでに病院に行くことにしました。
病院についてみると、なんと祖父は危篤状態。看護師さん曰く「今からご家族に連絡するところでした」という、いよいよな状況だったようです。続々と家族や親戚が集まる中、そのまま祖父は息を引き取りました。
母は「あのとき本当におじいちゃんがあんたを呼んだのかもしれないね」と、お盆になる度にこの話を聞かせてくれます。
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