友人の豪華な屋敷
投稿者:ぴ (414)
気が付いたときには知らない部屋のベッドの上で、私は友人に介抱されていました。どうやら部屋の出口付近で私が気絶しているのを友人が発見したらしいです。
私は震える体を抑え込みながら、昨日あったことを友人にすべて話切りました。
「夢じゃない?」と言われると思ったし、自分でも話ている内に冷静になってきて夢だったんじゃないかという気がしてきました。
しかし友人はそれを否定したのです。
「顔から上がない人でしょう?」と。
私は当然のようにそう言った友人にぎょっとしました。
友人が言うにはこの屋敷は曰くつきらしく、顔から上がない人は良く見る怪奇現象の一つなのだそうです。
他にもいろいろと出るらしく、彼女は何でもないことのように、それらを紹介してくれました。
私が見た幽霊はこの屋敷で自殺したお金持ちのお嬢様の幽霊らしく、夜な夜な自殺を繰り返しているのだそうです。
それを聞いて、ぞくぞく背中が泡立ちました。
「ここで出る幽霊の中でもいきなりヘビーなのを見たね」と友人には笑われました。しかし、私は笑えませんでした。
この幽霊を見るのは裕福になる兆しとされているみたいで、良いことなのよと言われました。とても信じられなかったです。
私はその日の朝早くに、友人宅を出てすっかり疲れた顔で家に帰りました。
そして自分の部屋に帰り着いて、なんだかボロボロ涙が溢れました。
あの日宿泊させてもらった恩はあります。ただ断られていたらあんな怖い思いをしなくて済んだのにというちょっとした恨みもあるのです。
それからもう一つ。友人の両親と一度も会っていないことも、個人的に不思議でした。
あの日会ったのは友人と犬だけで、他の家族には一度も会うことがありませんでした。
確かに広い家ですが、挨拶くらいはするものではないでしょうか。
昔は気づかなかったけど、友人はもしかしたら特殊な家の子なのかもしれません。
そしてもう二度とあのような怖い思いをしたくないので、申し訳ないけど二度とか関わりあいたくないと距離を置くようになりました。
稀な経験したのに
距離を置くなんてもったいないよ